本当の想い⑥
『ファナ──!!』
「ッ──!」
ファナへの一撃をナビの攻撃の合間を縫って叩き込むと見事に一撃が決まった。
そのまま振り斬って──斬り飛ばすとファナとの距離が空きナビと並ぶ余裕が生まれた。
「シエル様──!」
『ナビ──大丈夫か?』
「は、はい──すみません、何とか……」
『ナビ……、時間が無いかも。──気配が一層濃くなった』
分かります──。
と、ナビも頷く。
今しがたも、どんどんとこちらへと近付いて来ているであろう白銀の龍の気配が尚一層濃くなってきているのだ。
その原因は──目の前のファナだ。
「ハ──ハハハ……!!」
斬り飛ばしたはずのファナは確かに一撃を見舞われていたが……、その斬り裂かれた箇所は黒い力が繋ぎ止めていて──更に気が触れたようにファナは起き上がって来ていた。
『ナビ──ファナの意識は?』
「ほぼ……もう黒い力に呑み込まれてしまっていると……」
『楽にしてあげよう』
「はい──」
ナビの視線が鋭くなる。
いや、きっと自分の視線もだろう。
ファナの目的は国の守護だ──きっと黒い力の汚染でそこから認識が崩れてしまっているように思えた。
精霊剣へと力を込めるとナビも同じく、淡い白銀の輝きが強くなっていく。
「──ッ!」
その輝きがプレッシャーになったのか、ファナは後退りを自身でも認識していない内にしてしまっていたようだった。
『ナビ──まずはファナを……!』
「はい──!」
水平に構えた精霊剣の輝きは強く白銀の光を放っていた。
そして、ナビと合わせて一気にファナへと迫るのだった。




