本当の想い④
「赦せん……何をしたのか分かっているのか? 人類の……このヒノモトの平和を先延ばしにしたのだぞ?」
「ファナ──あなたは今の自身の状況を把握出来ているのですか?」
ナビが冷静にファナへと問い返していたが──。
「ハハハ──!! 何をいう、今の私は既に全能に近い。 あぁ──これならば何でも出来そうだ……」
「違います──! その力は……」
目の前のファナは更に肥大化しては濃縮な黒の力……いや、既に同化しているのか人間の原型を留めてはいるが別の存在へと昇華しているのは目に見えていた。
「うるさいな──! ……む、ははは!! あの忌々しい龍の存在を感じるぞ!」
「何を──!」
ナビがファナに問い返すと同時に……。
ズシン──!
と、異様なプレッシャーが周囲を覆った。
「ファナ──貴様……! 白銀の龍を呼び寄せてるのか!」
「ほう、死に損ないのハンネスか。生きていたか──分かるか? あれを消して後はこの力をヒノモトへと行き渡らせたら……この国はもっと豊かになる!」
はは──! ははは──!!
ファナの目は既に焦点が合わなくなってるようにも思えた。
「シエル様──マリさんを頼みますね」
『ナビ……? いや、待て──』
ナビは言葉を1つ残すとファナへと向かって行く。
「……小賢しい! 白銀の龍の前にお前も粛清してやろう!」
「いえ、私があなたを止めてみせます──!」
そして、迎え撃つファナと再度ナビは剣を切り結び始める。
「シエル──くん、私は大丈夫だから……」
『マリ……』
マリと視線を合わせると同時にファナから漏れ出した黒い力が凝縮しては再度、周囲にシャドウを産み出し始めていた。
「──はぁ! やっと追い付いたぞ!!」
「ブリッケンよ、急ぎすぎだ」
「はぁはぁ──僕はもう結構限界だよ?」
その時だった──。
正規のルートから入る移動ポータルからブリッケンさんとシリウスとヘルメスがこちらへと合流するのだった。




