本当の想い③
「どうして……こんな所に──私は……ッ!」
『マリ──!!』
マリは半分覚醒したような雰囲気だったが自分を見たら覚醒したようで──同じく黒い力の侵食の影響を受けてしまっていた。
『マリ──! 大丈夫か──!!』
「シエルく……私の事は大丈夫──だから……」
『何を言って……?』
白銀の力のパスが弱まるのと同時に黒い力が更にマリへと侵食していくのが伝わってくる。
『マリ──!! 呑み込まれたらダメだ! 君の本当の気持ちを──!!』
「本当の──きも……ち……」
マリの意識がまた黒い力に取り込まれそうになっていく──だが、本当の気持ち……それをマリは意識した瞬間に白銀の力のパスが──芯の部分から強く強く繋がっていくのを感じ始める。
「私は──違う……私は──シエルくんと……一緒に──生きたい!!」
「────なんだ……と!」
背後からナビと攻めぎあっていたファナの声が聞こえてくる。
『マリ──!! 君の想いを──!』
「シエルく……ん! たす──け──て!」
────!!
マリの想いと自分の想いが重なりあった感覚がした瞬間、白銀の力が爆発するようにハンネスを通してマリへと流れるのを感じる。
そして、マリからノーラさんへと白銀の力は巡っていき──。
ピキピキ──。
音を立てて、黒い力に呑み込まれたら血界にヒビが入る。
「信じられん──!!」
「いえ──! これが私たちの力です!!」
後ろからファナとナビの声が聞こえてくる。
同じく目の前の血界も内側から白銀の力が漏れ出して──。
パリンッ──!
っと、目の前で遂に黒い力の血界が弾けとんでいた。
『マリ──!! ノーラさん!』
2人がよろめきながら黒い力から解放されて倒れそうになるところを抱き抱える。
「シエルさ……ん、ありがとう……ございま──」
ノーラさんはかなり弱っていたのか、途中で意識を手放してしまっていた。
「ありがとう……シエルくん──信じてたよ」
『マリ──』
チュッと……頬に熱い感触を感じてマリを見てみると顔を真っ赤にしてこちらを見ていた。
それに応えるようにマリを抱き抱えている方の手の抱き締める力を強くするとマリは安心したように自分へと身体を預けてくる。
「ノーラ様は……私が──見よう」
『ハンネス──』
「大丈夫……シエルくん。彼が私たちをここまで護ってくれたの──」
ボロボロだったハンネスの傷や魔力は……白銀の力が流れ込んだ影響なのか、全快とまではいえないが、ある程度の回復を促していたようだった。
マリからの話も受けて、自分はハンネスへとノーラさんを預けると──大切に抱き抱えては横にさせてハンネスは周囲への警戒へと移っていた。
「──ッ!!」
そこへ、ナビがこちらへと飛ばされて来るのは──ほぼ同時だった。
『ナビ──!』
「大丈夫……です、シエル様。 少し後れを取っただけ……です」
『いや──』
大丈夫……です──!
っと、最後は言ってナビは目の前へと急ぎ聖霊剣を構えていた。
その先を見ると──中央エリアのすべての黒い力を取り込もうとしているのか……先程よりも更に強大な黒い魔力を纏っては感じるファナがそこに居たのだった。




