本当の想い①
「ここは──浮遊エリア?」
「あぁ──景色が……そうだな、俺の時もこの光景だった」
けれども──中央エリアの本来の白さとは真逆だけれどもな。
そう、リンの言葉へとバルが返していた。
中央エリアは真っ白なのがテーマなのか、建物や光景が白かったのだが、今現在の浮遊エリアから見える景色は黒で覆われていた。
「ほとんど──黒い力に侵食されてしまったようですね」
「精霊の気配は──奥……少しだけ」
ナビの言葉と続き──レイが指し示した方向へ視点をズラすと同時にドカンと破壊音が鳴り響く。
「な、なんだ──!?」
『急ごう……! シロの魔力の気配が揺らいだ……!!』
自分の言葉の意味を正確に皆に伝わったのだろう。
表情を再度引き締めて、一気に音の鳴る方──レイが感じ取った精霊の気配へと駆け抜けていく、そして──その先へと通じる扉があり、そこを一気に開け放っては奥へと僕たちは進入するのだった。
*
「ナビ様──皆様……間に合いました……か──」
『シロ──!!』
自分達が入った目の前──正面では中央エリア……いや、全てのマザーの統括を担っても居るマザー……シロが障壁を展開しては目の前の相手から攻撃を防いでいた。
ドカン──!!
と、今も破裂音と共に障壁に魔力が……いや、黒い力が衝突していた。
「ごめんなさい……、もう、持ちそうに有りませ──」
「大丈夫です……ここは私たちに──」
「いえ、違うのです……ナビ様、シエル──私が守っているのは……」
そして、何とかシロが手を指し示した先には白銀の魔力で守られているのか……2人──ノーラさんとマリが居たのだった。
「マリ──!!」
「落ち着いて……リン──聞こえてない」
「で、でも……!!」
同じく奥へと見やったリンがマリの姿を捉えて声を上げるが、それをレイが落ち着かせていた。
「もう、持ちそうに有りません……」
「──ッ!! 父様──!!」
「バル──?!」
シロが言葉を吐く最中、バルが何かを……いや、父親を見つけたのだろう。
普段の冷静さを欠いた彼が大声を上げて、そちらもシュンが押さえていた。
「大丈夫……私がシロの魔力を補います──シエル様」
『あぁ、分かってる。僕は目の前に集中することにするよ……』
シロへとナビが近寄っていき、同時に魔力をシロへと補い始めていた。
そして、先のナビへの言葉通りに僕は目の前の相手と相対するのだった。




