異変⑥
「ここから先は通さない──!!」
「ファナ様の命により、これより先の部外者の進入を禁ずる!」
ッ──! どいて!
シャドウを斬り捨てて進んだ先──中央エリアへと到達した自分達を待ち構えていたのは白装束の集団だった。
彼らに阻まれて目の前ではリンが彼らに向かって言葉を吐いていた。
「シエル──あの人たち普通じゃない」
「えぇ、レイちゃんのいう通りだと──あれは……混じっています」
レイとナビの声に彼ら──白装束を改めて見ると所々で黒い魔力が放出したり巡っているのが見えた。
「お前たち──そこまで堕ちたか!」
そんな彼らを見て、自分達に追い付いたブリッケンが大声で彼らへと言葉を吐き捨てていた。
「これは我が──頭目のお誘いを愚かにも断った愚か者では無いですか……」
「貴様ら──自身の姿を見て同じ事を言えるのか?!」
「何を言います? これが力です! これがあれば何も怖れる事はない! あの龍さえも屠れる──!!」
「──ッ! シエル!! ダメだ! あいつらは堕ちちまってる!」
ブリッケンの視線を辿ると、既にその目は黒い魔力の影響か変容したものになっており──彼らの気配は既に人という枠組みを越えたものになっているのが手に取るように伝わってきていたのだった。
「龍? 怖れる事はない? ──マリはどこ? 彼女をどこにやったの?!」
「はて? 儀式の最終段階の贄に何か用事が?」
「贄──?!」
「あの忌まわしい龍を呼び寄せて、そして我らへと黒き力を昇華する為の供物になるのです」
「貴様ら! 一番護らねぇといけねぇもんも分からなくなったのか?!」
リンとブリッケンの声は既に彼らへと届いていないのか、白装束の集団が抜刀を始める。
「ブリッケン──来るぞ。我も加勢する」
「ふんっ! 俺とお前の仲だ、当たり前だろう?」
ブリッケンさんの横に並んだシリウスの売り言葉に買い言葉をブリッケンさんは返している。
「おい、シエル坊──!」
『は、はい──!!』
「ここは俺たちに任せて行け! シリウス? 出来るよな?」
「我をなんだと思っている。お前の相棒だぞ?」
「はは! 冗談も言えるようになったか、OKだ。さぁ、行くぞ!」
「あぁ、行くぞ! ブリッケン! 遅れを取るなよ!」
ブリッケンさんの突然の言葉に慌てた返事になってしまったが、それを見て頷いたブリッケンさんの目は既に切り替わっており、シリウスと共に白装束の集団へと突っ込んでいった。
「みんな! 行くよ! ──こっちかな。僕に着いてきて!」
それに合わせて目の前ではヘルメスが先陣を切って移動をし始めていた。
それに続くように僕たちは──ブリッケンさんとシリウスの白装束への戦場を突っ切るように更に中央へと突き進むのだった。




