異変④
「はっはっは──!! これは楽だな!!」
ブリッケンさんの嬉しそうな声が響いてくる。
今現在──中央エリアへ精霊の力とこの白銀の力を通して空を飛びつつ向かっていた。
「魔力車が使えない──?」
それは移動するのに使おうとした際のやり取りだった。
エリアを管轄するマザーの異常行動でのエリア間のサポート。
そして、魔力の供給──基本的には中央エリアへと集約しては各エリアへと分けていたので、それが途絶えているのも理由だった。
それならば──と、今の空を飛んでの状況だった。
「むっ──ブリッケンよ、空の旅もそろそろ終わりかも知れないぞ」
「あっ? 何でだ──いや、そうだな……大層なお迎えみたいだぞ?」
2人の会話から今ままでその存在の接近に気付かなかった皆が2人の視線の先を目で追っていた。
黒い存在──!!
「シエル様──!! 中央エリアの結界が──!」
ナビの声にて更に奥の方に位置する、様々なものから守護する存在の結界が黒い存在によって侵食されては喰らい潰されたのか──いや、存在そのものが変容したようで、そこから自分たち目掛けてシャドウがこちらへと迫ってきていた。
「これが、シエルが言っていた──シャドウか!」
ブリッケンさんが叫びつつも自身の装備なのか大剣を取り出しては一刀両断の元でシャドウを切り落としていた。
「ここら辺で僕の良いところを魅せないとかな?」
えいっ──!
っと、掛け声をあげてヘルメスが目の前の敵をその手から放たれた魔力の光線を散らして放っては一掃していた。
「ほぅ、やるではないか。なら、我もシエルに魅せようではないか!!」
シリウスからも電撃がその身から生み出されては目の前のシャドウへと放たれると一気にその数が減っていく──。
「シエル様──活路が出来ました!」
『皆、一気に突っ込もう──!!』
あぁ!
はい!
よしっ!──行くぜ!!
それぞれの声を上げつつ、一掃し見出だされた活路を一気に駆け抜けて僕たちは中央エリアへと進入を成功させるのだった。




