異変②
「──確かにそれは違和感があるな」
バルも首をひねっては頭を悩ませているようだった。
そのタイミングだった。
リンクスから緊急の連絡が入ってくるのだった。
「シエル──この連絡?」
シュンの心配そうな顔の原因は分かった。
自分も同じような顔をしてしまったのだろう。
内容は中央との連絡の断絶との事だった。
『何かが起きてるのかも知れない──』
「シエル様──急ぎましょう」
自分の呟きにナビが横合いから同じく囁いて来ていた。
それに頷いて皆を見ると同じように思っていたのか、緊急ということで学園には午後は休む旨を伝えて、急いでリンクス本部へと移動を開始するのだった。
*
「来たか──」
リンクス本部へと辿り着くと広間では召集可能なメンバーが集まっては情報を共有しあっていた。
そこへ、自分達を見つけたイアンがこちらへと声を掛けてきていた。
「お兄ちゃん! どうなっているの──? マリも居なくて……」
「ん──? マリが居ない? ……そうか、当てが外れてしまったな……」
リンの言葉に一瞬の動揺を見せたイアンだったが、瞬時に顔を切り替えて改めて自分達を見てきていた。
「先程、連絡がリッチ殿、ガイウス殿──そしてジジイ……いや、ドルマンから連絡が同時に入ってきたんだ」
内容は中央からの連絡がパタリと途絶えたということ。
「そして極めつけは……」
「いや、それは俺が話そう……な! シリウス!」
「いや、ブリッケン──お主はそういうの苦手だろう。ここは我が話す──」
「あっ! それなら僕も合間合間で少し解説するよ」
イアンが後ろを振り替えって見やった方向を見るとブリッケンさんとシリウス、そしてヘルメスがこちらへと歩いて来るところだった。
合流した彼らからも話を伺うと──。
マザー間でも中央からの繋がりが途絶えた事。
ただ、何かの精神干渉みたいなものがそれに続き感じた事。
シリウスとヘルメスの2人は完全に自立してるといっても過言ではなく、その影響は無かったが違和感を感じて──。
シリウスはブリッケンさんと共に、ヘルメスはリッチさんに情報を共有しつつ、こちらへと合流したようだった。
ただ、今現在シリウスの情報網を駆使して集めてる情報を集約すると──。
学園寮や、学院エリアのマザーは自我が生まれて来ていた影響からか何とかその謎の精神干渉みたいなものから逃れているとの事だったが、まだ自我的なものが芽生えていないマザーに関してはエリアを放棄し──方向からして中央へと向かったような情報も錯綜していたのだった。




