チョコレート⑥
えっと──。
『ど、どうしたの──?』
「シエル様──お時間貰えないでしょうか?」
『か、構わないけれども……』
ナビは元から美少女だ。
いや、今は成長して少女からは少しずつ成長して来ているが美しさは更に磨きが掛かっていると身内贔屓では無いけれども見えていた。
──綺麗。
──ナビさんだ。
うん、やっぱり身内贔屓ではない周りの学生や教職の方──学園に関わる業者の方もナビの美しさに目を曳かれていた。
「シエル様……どこかおかしいでしょうか?」
『いや、そんなことは……ないよ? むしろ、綺麗だよ──』
それなら、良かった──。
心底ホッとしたのだろう、敬語じゃなく独り言みたいにナビが嬉しそうな表情を覗かせて頷いていた。
参ったな──。
それでも、ナビの美しさはとても目を惹いていた。
「えっと、シエル様──その一緒に行きたい場所があります」
『えっ──』
「──ご一緒出来ませんか……?」
考え事をしてしまって、一瞬ナビの話を聞き漏れてしまったが、どこか不安そうな顔を覗かせたナビに見られて聞かれてしまったら──。
『いいよ、何処へでも付き合うよ』
「ありがとうございます──」
自然とその言葉が出ていた。
ナビはその返事を聞くと嬉しそうに微笑みながら自分の手を引っ張って歩き始めたのだった。




