チョコレート①
あの巨大シャドウ討伐から暫くは平和を再度謳歌していた。
リンクスの仕事は時々、街の治安を守るのでたまに出勤があるくらいでほとんどは訓練をしていたりとかで。
学生寮でも生活は出来るのだが──安眠の為にリンクスの社寮を使わせて貰う事が多かった。
多かった……けれども、レイとナビ──そして、ヘルメスの要望が強い時は必然的に学生寮の自分の部屋で一緒に眠るという流れになっていた。
その度に──リンとマリがどことなく不機嫌になるというのも毎度の事になっていた。
そんな折だった──。
「ねぇ──私たちもそろそろ卒業でしょ?」
「そうだね」
「マリは例の行事はどうするの?」
えっと──。
っと、マリは少しだけ言い淀んで自分を見てくる。
『ん?』
「な、何でもない!」
自分の目線に気付いたマリは慌てて手を目の前に出してバタバタとしつつ何かしらを否定していた。
「ナビ? 何かあるの?」
「えっと、ですね──」
ナビも少しだけ周囲を見ながら周りの学生達もどこかソワソワしてる素振りを見せてる昼下がりでレイの耳元に顔を寄せつつ何かを教えていた。
私もそうなると準備しなきゃ──。
ナビから何かしらを教えて貰ったレイがそう口ずさむのは直ぐだった。
ナビもそれに合わせて、それなら一緒に作りませんか? とレイに提案していて2人で何かの打ち合わせを始めていた。
「おーい! シエル──!!」
「すまん、待たせたな──」
いや、大丈夫だよ!
っと、軽く返しつつ、今日のお昼は外で食べようと言い出して遅れていたバルとシュンが合流する。
どこか一人だけ除け者に近い感じになっていたので助かったと言えば助かったような気がしたのだった。




