巨大シャドウ⑩
「シエル──報告は以上か?」
『はい──』
「ふむ……」
「シャドウの正体か──」
イアンの言葉に頷くと、同じく情報を共有していたドルマンさんとガイウスさんが難しい顔をしていた。
「シエルくん? そうなると今までシャドウと言っていたったのは──」
「全てこの地球上に存在する生物? いえ、精霊等含めて闇に蝕まれた存在ということなのかな──」
リンとナビも難しい顔をしては少しだけ顔を伏せてしまっていた。
今、イアンのリンクスの代表室に居るのは自分達──。
僕、ナビ、レイ、シュン、バル、リン、マリ、ヘルメス、シリウス──そして、ドルマンさんとガイウスさん。
後は当たり前だが、この代表室の主のイアンさんだった。
「親父が闇の力に蝕まれたのはそうなると──」
「あぁ、バルの親父さんは──そうなると巨大シャドウ討伐時なのかもな……」
バルの推測にシュンが引き継いで話すと──ガイウスさんが苦い顔をしたのが見えていた。
「ムシュタルが知ったら──」
「仕方ないじゃろう、過去は変えられん。ただ、これからを変えることは出来る」
ガイウスさんの言葉にドルマンさんが応えていた。
「我は思うのだがその──女性型の精霊というのは人工の我とは違って自然発生の精霊なのだろう?」
「後、話を聞いてる限りだと僕は白拍子の動きが本当に怪しいと思うよ?」
シリウスとヘルメスの話しに皆──複雑な顔をしてしまう。
白拍子は国を守る機関の要──明らかに行動がおかしい。
そして、自然発生という女性型の精霊も──過去に出会った男が居るというお伽噺の存在なのではないか?
そんな存在のいう──ここを守る主とは?
皆、それ以降も情報を共有していくが謎が大きくなったという面が大きかった。
けれども、その中でも共有してもよい情報はそれぞれ必要な人物へと共有するのと。
皆、白拍子の動きに関しては気を付けるようにと意識が再度ハッキリしたのは僥倖だと言えたのだった。




