『巡り会うもの達③』
いつだって、ドアは目の前にある
”開く”
”開かない”
選択が、そこにあるだけなのだ
『すみませんでした!』
そう、出来る男はスマートに”謝る”のだ。
(堂々と?)
”何を言っている?”
そんな事、出来るはずないじゃないか。
自分の心臓は、意外と硝子のハートなのかも知れないな。
「いや、大丈夫だよ。それに、大丈夫かい?少し息が上がっているように見えるけれども・・」
”まぁ、うん。とりあえず、初めまして!俺はシュン、これから宜しくな!”
っと、心配の声に続けて、満面の笑みで、自分より、頭1つ背が高く、髪は短くも、長すぎも無い、標準的な、黒目黒髪のシュンくんが、自分に手を差し伸べて、挨拶をしてきた。
『僕はシエル。突然の同居が決まって、シュンくんも、驚いてしまったかも知れないけれども。こちらこそ、宜しく』
握手をするために手を伸ばつつ、挨拶を返して、握手をする。
”シュンくん”なんて、呼び方じゃなくていい。
”シュン”って、呼んでくれと云われ、お互いに”シュン””シエル”と、呼び合うことになった。
「とりあえず、部屋を確認しよう」
シュンに促されて、自分も室内の確認をすることになる。
(あれ、そういえば・・鍵は・・)
(「大丈夫です、見ていれば分かると思います」)
そう、ナビに云われて。
部屋の前まで辿り着いたところで、ヒューズさんがドアを確認する。
魔力の・・流れ?・・を、確認してるのかな?
「〝リセット〝はされてるようだね。うん、人数指定も、2人になっている」
ヒューズさんに促されて、まずは、シュンが扉の錠前になるのだろうか。
黒い、パネルみたいなところに、手を合わせていた。
”認証しました。シュン様と、お見受けします。宜しければ、登録の合図と、微弱な魔力をお願い致します。リセットされるまで、ロックされます”
電子的な声が廊下に響く中、「登録!」と、シュンが言う。
”登録完了しました”と、シュンの言葉の後に、電子音声が続けて響いた。
「どうぞ、シエル。やり方は、大丈夫か?」
少し、心配してくれているのだろう、シュンを横目に、自分も同じく、黒いパネルに手を合わせた。
”認証しました。もう一人の方、シエル様と、お見受けします。宜しければ”登録”の合図と・・・”
一通り、案内を聞いたのち「登録!」と、自分も言った。
その際に、黒いパネルに触れている手の部分に、微弱な魔力を感じて、寄り添うように魔力を纏わせてみる。
”登録完了しました”
それに合わせて、電子音声が登録の終わりを告げたのだった。
ーーー
後は、先程みたいに手を合わせたら、ロックの解除が出来るとの事だった。
ロックは自動的にやってくれるとの事。
”それにしても・・”っと、周囲を見回してみる。
外観から、洋館だとは分かった。
そして、規模も広いという事も、多くの学生が住んでいるのだろう。
ここに生活している生徒の学年規模は、中学~大学と幅も広く、主に、この学生寮エリアに集約されているらしい。
ただ、この部屋の場所は”良い場所”なのだろう。
この洋館の区画的に端の方なのだが、広い部屋のエリアなのだと、容易に予想がついた。
そして、年季を感じるが、磨き抜かれいてる樹のぬくもりは、何処か安心感をもたらせてくれていた。
「シエル?とりあえず、中に、入ろうぜ」
シュンの言葉で、思考が現実に引き戻されて、早速、共に、部屋の中を見てみることにした。
新しい住まい
これから長くお世話になる場所
果たして、どんな部屋なのだろうか
ある程度の期待を持って、部屋へとシエルは入るのだった




