巨大シャドウ⑧
「あなたの──いえ、あなた方の力は……主と同じ……」
『主とは──?』
「ここの──場所の……守護者です……」
「────」
ナビが該当する情報が思い当たらないのか首を左右に振っていた。
「どうか──主を……助けて下さ……」
『助けるとはどういう──』
「その力は唯一──抵抗出来る力……かの者から与えられた力──」
「かの者とは──いったい?」
「あぁ──最後に希望に逢えて良かっ──……」
『待っ─……』
ナビと自分はまだ聞きたい事が多かったが──。
ナビに支えられた名もなき女性型の精霊は最後はどこか満足そうな顔で粒子となって世界に消えていっていた。
『どういう事なんだ──』
「分かりません──ただ……」
ただ……あの闇の気配は──ハンネスの地下研究室で取り逃がした闇の力と気配が一致していました。
ナビは深刻そうな顔でそう呟いていた。
その可能性を指し示すのは取り逃した闇の力が──今消えた女性型の精霊に取り憑いて巨大シャドウへと変容していた事を指し示していた。
「──シエル? シャドウって──」
レイも察しが良いのだろう。
辺りにまだ残っているシャドウを見やる。
精霊が攻撃を忌避する時があるのは気付いていた。
その理由の一旦はきっと同族だったからなのだろう。
なら、人形のシャドウは──。
『いや、今は仲間を助けよう──僕たちは決めないといけない』
何を助けて
何を斬ってしまったか
その意味をちゃんと理解してしまったが──。
それでも選ばないといけない時がある。
それが今来たのだろう。
「──シエル様。ナビはどこまでも着いていきます」
「──私も、シエルを一人にはしない」
──少しだけ、2人への罪悪感が芽生えてしまったが察したのだろう。
2人からそっと手を触れられる。
ふんわりと暖かい魔力が共有されると2人の心の暖かさが同じように伝わったようで──。
『ありがとう──行こう!』
「はいっ!」
「うんっ!」
2人から返事を受けつつ、巨大シャドウを討伐した後に残る残党を──イアンやボン達を守る為に掃討戦を僕たちは始めるのだった。




