巨大シャドウ⑥
『出来るかどうかはハッキリとは応えられませんが──』
「ッ──!」
イアンさんの視線が自分を向いたタイミングでシャドウの攻撃がイアンさんを掠める。
考えてる余裕は無さそうだ。
『やってみます──!!』
「すまない、頼む──この場は俺が死守する!」
イアンさんへ頷きつつ、目の前へ迫っていたシャドウ達を横に一閃──両断する。
そして、一気にと大型シャドウ目掛けて僕は駆け出すのだった。
*
「────ォォォォ?!」
一気にと駆けて巨大シャドウへと相対したのだが、巨大シャドウは自分の白銀のオーラを見てか戸惑いを浮かべたようだった。
(なんだ──?)
「──ァァァア!!」
だけれども、戸惑いは一瞬。
一気に言葉になっていない悲鳴をあげては自分目掛けて攻撃を仕掛けてくる。
全方位からの闇の刃の攻撃を一気に弾き返す。
「シエル様──! 援護します!!」
「私も──お願い、精霊──!!」
マリとリンはイアン達の下でそのままサポートに回って貰った。
巨大シャドウへはナビとレイ──そして自分で対処に走っていた。
ナビの援護は的確で巨大シャドウが再度展開して攻撃してきた闇の刃を同じく白銀の刃で相殺していく。
レイの方は未だに存在が不明な闇を払うように精霊の力を借りて突風を巨大シャドウへ放っていたが──魔法への適性があるのか効果はいまひとつに見えているのが現状だった。
『ッ──!』
どうなっているんだ──。
攻撃していく過程でどうやら魔法でも、この白銀の魔法に関しては耐性が無いのか明らかに攻撃が通っている印象があるのと──同様に相手が動揺しているのが伝わって来ていた。
「シエル様──! 何か変です!」
「シエル──! これ以上は精霊が近付くの嫌がってる……」
巨大シャドウが動揺してか攻撃の手が緩んだ際にナビとレイが自分の下へ合流を果たしていた。
「あ……る……じ──……」
えっ?
「シエル様──何か、言葉を……」
「話した──?」
ナビとレイにも聞こえたらしい。
自分の動きを押さえ付けるようにして目の前の巨大シャドウは自分達へと語り掛けて来るのだった。




