巨大シャドウ④
「シエル──の部隊──聞こえる──か!」
その通信は途切れ途切れというより"は、魔力がどこかで分断されているのか声が飛び飛びで聞こえてきていた。
『聞こえています──!!』
皆の回線を繋いだ状態のまま返事を返すと、向こうも同様に聞こえていたのかまた声が飛びつつも言葉が返ってきていた。
とりあえず、内容を精査しつつ──目の前のシャドウを片付ける。
周りの皆も無事に倒し終えたのか一息つきながら先ほどの内容を確認しあう。
「ここから少し先の地点で──か?」
「あぁ、巨大なシャドウがと言っていたよな?」
シュンとバルが先ほどの内容を簡潔にまとめていた。
そう、先ほどの連絡は避難及び──可能なら撤退している部隊の助けを──。
っと、いう連絡だった。
「あれ? でも、向こうの部隊って──」
「ボンさん、フィンさん、シンさんの構成部隊ですね……」
後は、イアンさんの元部下3人メンバーも一緒ですね──。
っと、リンの言葉にマリが返していたが補足という形でナビが補完する。
「シエル──? 行かないと!」
自分の服の袖を握ってきたレイの手の力は強かった。
レイは自分の事情も背景には多少あるのだろうが──誰かを助ける事や、そして見捨てない事は特に大切にしていた。
『あぁ、分かってるよ。 行こう──』
レイの袖を掴む手をそっと包んで握りつつ応えると、掴む力は緩んだ気がした。
そのまま、助けに向かおうと身体を向けると──既に皆も同じ気持ちだったのか足並みは自然と揃っていた。
まったく──本当に素敵な仲間に……友に恵まれたな。
そう、心に思いつつも僕たちは一気に連絡を受けた巨大シャドウの方面へと駆け出して行くのだった。




