巨大シャドウ③
それからの日々は平坦だった。
学生としては充分に謳歌していた。
リンクスとしても活動も訓練だったり含めて、特に大きな事件もなく平和だった。
だった──と、いうのは違和感だけは残っていたからだ。
各エリア内にて散見されていた白装束の動きがついぞ途絶えたのが大きかった。
今じゃ、自分とナビの索敵範囲からも逃れている状況だ。
疑いたくはないが、何度も怪しい場面はあったので違和感しか生まれないでいた。
そんな折だった。
エリア間から少し外れた場所にてシャドウの目撃情報が多数報告されるようになってきたのだった。
そして、最初は数件だった報告も日を追う毎に増えていき。
今やリンクスとしても、ギルドや軍の対応しきれない範囲をカバーやフォローをする形で討伐に向かうことが多くなって来たのだった。
*
「なぁ、どう思う?」
「さぁ、俺たちには分からないだろ?」
シュンの疑問にバルが応えているが、ハッキリ自分でも分からないでいた。
シャドウのレパートリーとしては獣型が多い。
時たま人の姿に近そうな精霊だったのだろうか?
シャドウの目撃情報もあったりで、その際は適宜臨時メンバーを組んだりして何とか対応を取っている状況だった。
『──ッ!』
不意に襲いかかって来ていた獣型のシャドウを一刀両断する。
「マリ──!」
「えぇ──! そこっ!」
リンとマリも即座に臨戦体勢に移行していた。
ここら辺の練度は訓練の成果だと素直に思う。
自分の一番最初の接敵からシャドウが溢れて襲いかかって来る。
「少し──多いかも?」
「ですね──!!」
レイの呟きを言葉を返しつつもナビも応戦している。
少し前なら応援を呼ぶ量のシャドウだが現在はそうもいかない。
何故なら、現状はどこも同じような現象に陥っており割ける人員が居ないと言うのが現実だったからだ。
自分も現在の状況を考えつつも精霊剣を振るっていく。
スパッ──と、シャドウは小気味良く両断される。
自分達の場所は大丈夫だろう。
現状、シャドウの量は多いが対処できない程では無かった。
むしろ、余裕がある方だと──。
そう、思い至っていたところで緊急の連絡が魔力ネットワークを通じて自分たちへ届けられるのは同時だった。




