巨大シャドウ①
「結局どういうことなんだ?」
「さぁ、俺にも詳しくは分からない」
「シエル君は何か聞いてないの?」
シュンとバル──そして、自分へとリンが質問を投げ掛けてきていた。
聞いていると言えば聞いている──。
けれども、ここで話すのは憚られた。
『後で話そう──ここで話す内容でも無いよ』
「そうよ、シエル君困っちゃうじゃない」
自分がリンへと応えていると、その横でマリがリンを諌めていた。
「シエル様──お茶のおかわりは?」
「シエル──そのケーキ美味しそう」
『ん? あぁ、お茶は少しだけ──ケーキは半分食べる?』
コクっと頷いてはレイは自分のケーキを半分大事そうに自分のお皿へと移動させる。
ナビからお茶を少しだけ注いで貰いながら辺りを見渡す。
そう、あの日から少しだけ時間が経って──今は学園の少しだけグレードが高いがスイーツ等が美味しいお店のテラス席にてお昼を楽しんでいた所だった。
「む──分かってはいるけれども、シエル君の人気が凄いなぁ?」
チラッとこっちを見ながらリンが呟く。
その顔は少しだけむくれてるようにも見えて可愛いと思ったのは心の中にしまっておく。
「まぁ、コロシアムの優勝者ですからね」
マリがそんなことを言いつつ、魔力ネットワークを操作して動画投稿サイトやら、情報発信ツールも重ねて可視化させる。
そこには未だに衰えを見せない人気絶頂のアイコンも付いている自分の戦闘シーンや話題が溢れていた。
「──シエル大変?」
レイが小さな口を頑張ってモグモグ動かしつつも、首を軽くコテンと傾けつつも自分を心配してくる。
『そんなこと無いよ』
まぁ、気にしていないと言えば──嘘になるけれども。
それよりも自分を悩ませているのは周りの女性陣への自分への風当たりだった。
思えば皆、良い年齢だ色恋沙汰なんてあって当たり前の年齢だろう。
その影響なのか、今のリンのむくれてる感じもだが──最近は何故かナビまで含めて自分への接触というか、アピールが強くなっている気がする。
いや、ここまで朴念仁──いや、鈍感系というべきか。
そんな感じを貫き通して来てはいたが、ここに至っては無理が生じている気配が充分にしていた。
「────」
はっ!
なんとなく、ナビの心の波長が感じた気がしてナビへと振り向くと──これ見よがしに自分をジト目で見ているナビと目があってしまった。
あはは……。
何故か苦笑をして誤魔化してしまう。
参ったな──。
そう、自分は色々と確かに今に至るまであったが。
今に至っては今までより、一番何かを自分に求められているような気がしていたのだった。




