地下研究施設跡⑦
「クソッ──!! どうなっている!」
「いえ──私にもわからな……」
五月蝿い!! ──っと、ギィーは自分へと従っている派閥の人間を腹立たしげに殴り飛ばしていた。
「何故だ? 地位をバックアップも約束すると言ってたじゃないか!!」
ギィーは思い出す。
あの英雄と言われているシエル。
そう、あの日──中央で大惨事になったハンネス反逆の際の集まりや会合だ。
あの日、あの場所で私は焦っていた。
何かが変わると私の中で告げていたのだ。
悪い予感や知らせは良く当たるんだ。
そんな時だ。
このヒノモト──国を裏から護る暗部から声を掛けられたのは……。
「ハンネスの研究施設の──最奥の何かを見つけ出す。それはそろそろ終わると連絡が──」
ギィーの言葉は続かなかった。
彼の目の前に白拍子の集まりが現れたからだ。
「あっ──あなた方は──! ど、どういうことだ!! ……です」
ふと、昂ってしまったのか荒い口調を瞬時に冷静になって改める。
ヒッ──!
その声はギィーの声だろうか。
それとも今しがた殺されたギィーの派閥達の声だろうか?
はっ……?
その声は確かにギィーの声だろう。
だけれども、それを認識することはギィーには難しかった。
「お前は使える駒だと思っていたが、なんだ? 使えないな。ハンネスは我らを上手く欺いたらしいが、あれも結局は人。最期は呑み込まれていたが──あれをまだ正気の内に封じるとは我らの失態だった」
何を言って──。
「だが、解放に成功した。あれはきっと我がヒノモトを護る新たな力のはずだ。あぁ、そうだ。そうに違いない」
彼らの──白拍子の目は黒い目の色……じゃない、黒いモヤに存在に覆われていた。
狂っている……。
俺はとんでもない奴らと手を組んで──。
「あぁ、まだゴミが残っていたな。これを片付けたら撤収だ。後はなるようになる」
えっ──?
そして、ギィーは動けない身体で自身へと向けて凶刃が振り下ろされるのをその両の目が捉えていた。
「さぁ、撤収だ。結果をあの方へ連絡するのだ──急げ!」
ハッ! ──そう、声を揃えて白拍子達は……そう、彼らの暗部の最高とりまとめ役──最高責任者へと報告しに賭博エリアから離脱して行ったのだった。




