『巡り会うもの達②』
「そんな睡眠時間で、大丈夫か?」
『大丈夫だ、問題無い』
(???)残念だ、やり直し機能は、ここには無いのだよ
(・・・やってしまった)
”何が?”とは、云わないで欲しい。
ほら、あのナビさんだって、何も突っ込まない。
(・・そうだ)
出来る男は”クール”に、そして”スマート”にだ。
(堂々と、行けばいい)
多少の遅刻は、目を瞑ってくれるだろう。
(いや、あの夢の中の世界では、遅刻など、したことも無かったし、そんな事は許されるような、環境では無かったが・・)
「シ・・ル・・く・・・」
「シエルくん」
〝…!〝
ヒューズさんが、自分を呼んでいた。
いつの間にか、着いていたらしかった。
相手を、…シュンくんを待たせてしまっているのに、動揺しているのだろうか。
(「シエル様、頑張ってください」)
ここぞとばかりに、ナビも応援・・、あぁ・・これだ。
〝夢の中でも、確かに、こんな応援されるような感じのがあった気がするな〝と感じながら、ヒューズさんを追って、歩を進めることにする。
『ありがとうございました』
そう、その前に”運転手”にお礼を告げる。
運転手?
そう、この世界には、乗り物はある。
あるというか”旧世界”に見た、慣れ親しんだものが多い。
因みに、今のは”魔力車”だ。
車のタイプ、そして同じく、旧世界の、電車のタイプや、バスのタイプもある。
そして、ここは、ファンタジーっぽいと、常日頃、思っていたが、空を走っているのは、当たり前だった。
”魔力の層”を、上手く利用して、誘導線や、信号機に近いもの、魔力掲示板等もある。
もう少し離れたら、制空権が許されてる区域だと、建物も空中にあるところも、あるらしい。
(やっぱり美しい・・)
(「えっ!・・えっ!?・・」)
またナビが、何故か嬉しそうな反応を、突然したのを皮切りに、冷静に切り替わる自分が居た。
そして、冷静になると同時に〝遅刻をしている〝待たせているという現実に気づき、・・やはり、動揺していたのを理解したのだった。
とりあえず、まずはヒューズさんに着いて行こう。
少し、重く感じてしまう足を動かして、俺は、新しい生活の一歩を確かに、踏み出したのだった。
始まりはちょっと躓いて
けれども、確かに歩み初めて
そうやって、人も、人生も歩んでいくのでしょう




