地下研究施設跡⑤
「やっと開いたか……泳がせていたかいがあった」
「早く目的を終えるぞ──」
小さな声だが確かに私には聴こえていた。
シュッ──と、目にも止まらぬ早さで攻撃が繰り出されていた。
レイちゃんはギリギリ──。
フィンさんとシンさんはお互いにカバーしあって──。
けれども、マリさんとリンさんは──。
「ッ──!!」
「「えっ?!」」
ギリギリ2人への攻撃を咄嗟に精霊剣を2刀にして受け流す。
マリさんとリンさんの驚く声は攻撃が過ぎるのと同じタイミングで聞こえてくる。
パリンッ──!
そのタイミングで背後から音が鳴る。
ドクンッと同じく心臓が高鳴る音がしたと同時に皆へと無意識に白銀のオーラを纏わせていた。
ブワッ──!!
っと、試験管からコア──いや、黒い存在が溢れたかと白拍子達を軽く纏ってから、そのまま外へと向けて加速して消えていく。
「ウガ──ア──ァ──」
「ァ──a──?」
追いかけようとしたが無理だった。
白拍子だった存在が今や無惨にも真っ黒に変容しては着てるものも今は分からない。
ただ、黒い存在になったナニかがそこには立っていた。
「マリさん、リンさん──お下がりください」
2人は素直に頷いてくれて下がってくれる。
2人の前にはレイちゃんが守るように、サイドにはシンさんとフィンさんがこちらに頷きながら陣形を作ってくれていた。
そして、私は目の前の変わってしまったナニかを見る。
そこには意志が──いや、どす黒いナニかの感情が見えている。
呪い? 苦しみ? 悲しみ? 怒り?
これは──。
深く思考へと誘導されていたのか──けれども私の感覚に助けられた眼前へと一気に詰めてきた黒い存在の攻撃を精霊剣で受け流して一刀両断する。
「a──」
そして、1人? 1匹? を切り伏せる。
(動きもパワーも全ておかしい……)
何戟か刀を交えて感じた印象だ。
刀とは変だろうか?
彼ら? は身体の黒い存在の一部を武器化して攻撃をしてきていた。
強い──。
けれども、私やシエル様程ではない。
けれども、普通の人には対処が難しいだろうと私の中で分析する。
そして、難なく白拍子だった存在を切り伏せる。
けれども、切り伏せられた時点で──魔力だけでも奪ったとしても彼らは粒子になって消えていったのだった。
「ナビさん? これからどうする?」
「ここで得ないといけないものは得られたと思います。 それに先程の黒い存在が外へと出てしまったこと、後は白拍子の動きが気になります。 ここを出ましょう」
私の考えや意見を話してみると皆頷いて行動に移り出してくれた。
そして、外に出ようと廊下を出たら……先ほどの黒い存在が何体かが襲い掛かって来ていた。
強さは先ほどの白拍子達に比べたら──ランクは下がっているように思えるが、素材が優秀な人だったのだろう。
なかなか強かった。
ここから導き出されたのは素材となる部分に寄りけりで強さも変わるのだろうということだった。
そして、私が咄嗟に白銀のオーラを皆に掛けていなければ大惨事になっていたかも知れない。
とりあえず、考えるのは後にしよう。
私は皆を引き連れ、駆け出しては外に向けて移動を始めるのだった




