地下研究施設跡③
「見通しが悪いな──」
「全く──慣れるしかないよ?」
「お前はいつもそうやって達観してるよな?」
シンさんとフィンさんの声が聞こえてくる。
確かにそうだろう。
皆を見ていると何がとは言わないが確かに見えづらそうにしていた。
私は守護霊──精霊の存在でもあるから、認識に問題は無いけれども……、こういう時は嫌でも違いを感じてしまう。
シエル様が昔、夜に本を読んだりとかしていた目を暗闇に慣れさせる魔法を皆に掛けていく。
「おっ、見えるようになったな」
「おや? 本当だ」
ありがとう──とシンさんとフィンさんのお二人から声を掛けられる。
それに頷いて応えて改めて周囲を見渡してみる。
幾つか整理整頓されたような箇所や、未だに何かを探しているような後が見受けられる。
「ナビ──見て」
「どうしたのです?」
レイちゃんに声を掛けられてその視線の先の資料に目を落とす。
黒い存在に関しての見解及び検証記録──。
その文面が書類の中に散見されているのを見つける。
黒い存在──。
シエル様と今一番に気になっては調べている内容だ。
中央のサーバーやら、昔の文献をハッキングしてサルベージしていても分からない所だった。
それがこんなところで見つけられるとは思わず、私もレイちゃんと同じように少し驚きの混じった表情をしてしまっていると自覚出来るくらいには驚いてしまっていた。
「黒い存在──」
マリもそれに気付いたのか、資料を取っては読み漁っているようだった。
「父さん──とりあえず、幾つか資料を取りまとめよう」
「そうだな、バル」
バルさんの辛そうな声だけれども、ちゃんと必要な事は見えているようです。
シュンさんもそれに気付いているのか、難しい表情を隠すことはなく目の前の資料を読み漁ったりまとめ始めるのでした。




