地下研究施設跡①
「皆様──準備は大丈夫でしょうか?」
あぁ。
うん。
任せて!
──皆様の声が聞こえてくる。
シエル様は大丈夫でしょうか……?
私はそんな心配を直前までしてしまっていた。
いえ、今は目の前のことに集中しないと。
そう思い直していると、隣に居たレイちゃんが私の手を握ってくれていた。
「ありがとう、レイちゃん」
ううん──と首を横に振りつつギュッと更に手を握ってくれる。
それのお陰か幾分か気持ちが楽になる。
「むぅ──私も一緒に行きたかったが行けなく申し訳ない」
ボンさんの声がきこえてくる。
仕方ないですよ──と隣でセーレさんがボンさんを慰めていた。
研究施設跡に潜入予定は私──ナビとレイちゃん、リンさん、マリさん、シュンさん、バルさん、そしてシンさん、フィンさんだ。
ボンさんは流石に賭博エリアでは顔を知られているので潜入は取り止めになった。
ヘルメスは賭博エリア内を把握出来るのでサポートへ、シリウスはそのバックアップという配置になっている。
(行きますか──)
時間を掛けすぎてはいけない。
本日中──シエル様達がコロシアムを盛り上げてくれている間がチャンスの作戦。
「では、行きましょう!」
私の一声でハンネスの地下研究施設跡へと潜入を開始する。
皆へは認識阻害の魔法を掛けている。
ギィーの部下達が多く巡回しているが目を欺く事は出来るでしょう。
頷き合いつつ私たちはソッと忍び込むのだった。




