コロシアム36
「まだ、あんな輩が居たのか……また対応しておかないとか?」
『いえ──やりすぎは逆に反発を生み出しますので……』
「そうか? お前自身がそう言うならば……だが、何かあれば伝えてくれ」
『分かりました』
控え室に戻ってからのイアンさんとの会話だ。
イアンさんも中継をネットから見ていたのか会話も聞いていたようだった。
とりあえず、前にして頂いた自分に関しての情報共有は勘弁して貰った。
(あれは……気恥ずかしくもあるんだよな)
自分のハンネスとの邂逅やら実際の行動とか、ある程度の公開が許容されてる範囲で周知させるという意識改革だ。
ある程度だからこそ、逆に信憑性を疑って今みたいに更に気持ちを助長させてしまうという失敗もあったみたいだが、概ね自分への周りの認識はそれで改善されたともいう。
だが、あれを大勢に流布されるのは恥ずかしいのだった。
「「わぁぁぁ──!!」」
「盛り上がってるな」
『ですね──』
あの後も試合は続いている。
そしてイアンさんの番も直ぐに来るのだった。
「行ってくる」
『お気をつけて』
先みたいにスッと手を挙げて応えたイアンはその後はプラプラ手をしてから控え室を後にするのだった。




