コロシアム34
「シエル──気を付けろよ?」
『はい!』
会場へ向かう中でイアンさんとすれ違う。
イアンさんに応じて──会場への入場を待機する。
*
「お待たせ致しました! 会場の安全が確認取れました!」
実況の子が安全確認の終わりを告げている。
試合毎に入念に結界の確認を行っていた。
それはそうだ──それが無いと死人が出てしまう。
昔はそれを売りにして大きな集金を得ていたというのは秘匿された情報の中には存在していたが今の時代には忌避される事だろう。
「それでは選手の入場になります──!」
「新星と言っても過言では無いでしょう! 今や時の人でもあります! 英雄と若くして言われてる──シエル選手です! あっ! 私もファンなんです! 後でサイ──」
「「きゃぁ──! 頑張ってぇ──!!」」
……おや、男性の声も聞こえはしているが圧倒的に女性の方々の声が大きい。
それに──実況の女の子は途中でマイクを切られていたような?
とりあえず片手を挙げて周りの方の声援へと応えると歓声が一際大きくなった。
「す、すみません──! えっと相手選手は──ギルドでも有名な──」
「────」
少し注意されたのだろうか?
ほんのり大人しくなったような実況の女の子が復帰する──それに合わせて案内された選手が目の前から……何故か凄く睨んだ目で自分を見ながら入場してくるのだった。




