コロシアム30
「ようこそ──お待ちしておりましたリンクスの方々、心より歓迎致します」
僕たちの魔力列車が賭博エリアのホームに辿り着き、降りた所で目の前にはリッチさんが──その背後には今回の賭博エリアの式典関係者だろう方々がリッチさんが頭を下げるのと同じく自分達へと礼をするのだった。
「いえ、こちらこそお招き頂き感謝致します」
それにならい、先頭のイアンさんが胸に手を当てて頭を下げると──昨日の光景と同じく皆各々敬礼やり礼なりを執る。
*
「ここからはそれぞれ動いて貰う──何かあれば現場の上の者の判断を、それが難しい際は個人の裁量で最良な判断を委ねる」
あの後リッチさんに招かれて式典会場の控え室へと集まったリンクスメンバーにイアンさんは言葉を放っていた。
それに頷いたメンバーは各自動き出す。
『ナビ──気をつけて』
「はい──!」
言葉短く、すれ違う際にナビへと言葉を送る。
ナビの強い想いと一緒に言葉が返ってくるのもすれ違いの一瞬の中ではお互いに充分だったらしい。
「シエル! 俺たちも行こう。出場者の控え室はこっちだ」
『はい──!』
どこか、自分とナビのやり取りの終わりを見届けていたのだろうか? タイミングを見計らったようにイアンさんが自分へと話し掛けて来て、それに頷いて自分達も控え室へと足を進み始めるのだった。




