コロシアム27
その夜は自然と眠れなかった。
ふと、隣を見るとシュンとバルが気持ち良さそうに眠っているのが見える。
『こういう時……』
いや、何を考えてるのだろう。
一瞬だけ、学園寮での──ナビとレイとの生活を思い浮かべてしまった自分が居た。
(「シエル様──」)
『?』
一瞬の事。
先程まで少し前の生活を思い馳せていたからか、気のせいだと思った自分がいたが再度同じくナビの呼び掛ける声が聞こえて現実だと自分は認識するのだった。
(『ナビ? どうしたんだい?』)
(「いえ──」)
ナビらしくない……とは言えない。
ナビは最初に出会った頃から人間らしく? ……精霊なのに人間らしいとは可笑しいなと自分で思い至ってしまったが、そう──人間らしくなってきていた。
だから、この反応も意味があるのだろうと自分の中で答えが結び付いていく。
(『明日の事だよね』)
(「はい──」)
そして、ナビと明日の事について話し合う。
自分の方ではコロシアムの事、その中でのギィーとリキアとの絡みの不安。
ナビ自身は自身が指揮を執るハンネスの地下施設の調査に関して──。
(「あの黒い存在は現れるでしょうか?」)
(『どうだろう……』)
そして、最終的に行き着く先は最近の僕たちの気になっている存在意義──先のハンネスとの際に接触した黒い存在に辿り着く。
あの存在は未だにナビと2人で時間がある時は探ってはいるが分からないままであった。
(『でも──何があったとしても……』)
(「はい……」)
2人で改めて意思を確認しあう、何があってもお互いに守りあおうと。
そして、明日を乗り切る事を──。
そうして、明日の賭博エリアの復興の式典日へと時は進んでいくのだった。




