『コロシアム⑬』
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「おう──シエル坊! 俺の事など忘れてしまったのだと思っていたぞ!」
ガハハハッと快活に笑いながらブリッケンさんは自宅兼工房にシリウスの案内されてきた自分たちへと挨拶をしてくるのだった。
『いえ、そんな忘れるなんて──忙しくしていて……それにもう坊と付ける年齢では──』
「なに言ってるんだ! 俺からしたらシエル坊はずっとシエル坊なんだよ!」
「シエル殿──諦めた方がいい。ブリッケンは良くも悪くも変わらないからな──」
「おう! シリウス! 元気にしているか! 俺のこと良く分かって褒めてくれるじゃないか!」
はぁ……とシリウスのため息が聞こえてきそうな表情を見つつ、それとは真逆に朗らかに嬉しそうにしているブリッケンさんが居るのだった。
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「あぁ──ちょっと待て……」
そんな挨拶が各自済んだ後にブリッケンはおもむろに室内の奥側に位置していた機械仕掛けの何かを操作するのだった。
「うん? 何か変わったような?」
「ん? あぁ──賭博エリアの嬢ちゃん……ヘルメスか! そうだ、よく分かったな!」
「まぁ、伊達にマザーやってないからね」
2人の相性は意外とかみ合うのか嬉しそうに反応しあっているのだった。
「これは中央の貴賓室を思い出しますね──」
「流石ナビ様だな! あれは俺が手を加えた逸品なんだ」
ナビがふと呟くとそれを聞いたブリッケンは嬉しそうに言葉を零すのだった。
「もう少しだけ──強化しますね」
「おぉ──流石だな。力の扱い方が洗練されて来てるんだな」
ナビの強化に合わせてブリッケンさんは惚れ惚れとナビを褒めるのだった。
「とりあえずだ──の前に茶でも飲むか? 良いのがあるんだ!」
「いえ──あのだいじょ……」
「遠慮するなって! 嬢ちゃんでも中々味わえない嗜好品だったはずだぞ!」
マリが遠慮しようとする中──その静止の願いは届かずにブリッケンさんは意気揚々と奥に消えていくのだった。
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