『広がる世界③』
例え広がる世界でも、帰れる場所は必要なのです
それを人は”my home”という
「中学校・・、学校へ通う際にシエルさん・・、ううん、シエル”くん”と呼んでも大丈夫かな?」
どこか、憑き物が落ちたような顔で、ヒューズさんは、自分に話を振ってきた。
(ガイウスさんと似てるのだろうか?・・なんだか、全体的に雰囲気が”丸く”なったような気がするな)
(「〝旧世界〝の文献ですと、人の遺伝子情報は、その人の、性格にも少なからず影響は与える可能性があることが、囁かれていました。ガイウス様と同じく、水系統の回路持ち、回路も遺伝子に準ずる可能性があると、今の”新世界”でも、言われています。なので、似ているという点では、可能性はあるとも、取れます」)
ナビさん、〝ありがとう〝。
この”ありがとう”が大切なのだ。
ナビさんの調子が、すこぶる、元気になるのだ。
ヒューズさんは、もう少し、話しをしてくれた。
自分をシエル”くん”と呼んでみたかったこと。
本来は”僕”呼称だということ。
でも、最初に”私”で話しかけてしまった為、なかなか、切り替えるタイミングも無く、切り替えても良いのかと、俺自身との距離感に、悩んでいたみたいだった。
(律儀な人だな・・。それに、優しい人だ)
(「シエル様ほどでは・・」)
ナビさんの、自分持ちは凄いらしい・・、これ、好感度みたいなのがあれば、天井設定あるのかね?
(「(天井だ、なんて、私には)・・・!」)
うん、分かった。
分からされてしまった、ともいう。
よく言う”勝ち気な子を分からせる”という、意味合いではない。
決してない。約束だからな!
(「・・・」)
・・・・ナビさんの冷たい?と思える、視えない視線を感じながら、ヒューズさんの話を聞いていた。
そして、気になる言葉に差し掛かったのだった。
「シエルくんの、住む場所は、どうしようか・・?」
oh my God!
・・・確かに、この世界で目覚めて、意識していなかった事だ。
まさかの、最初の一歩は踏み出せても、二歩目で、もう泥沼にはまるというのか、俺は・・?
家、家は大切なもの
同情するなら・・、いえ、家は必要
シエルは果たして住居を見つけられるのだろうか




