『コロシアム⑩』
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「シエルもやっぱり──やれば起きれるじゃないか」
『あ、あぁ──まぁ、ね』
「シュン? シエル? 早く行くぞ! シリウスはもう先に出てしまってるぞ!」
男性用の宿泊施設の入り口からバルの声が聞こえて来る──。
シリウスはピクッと目が覚めたかと思うと、瞬時に人型になっては身支度を済ませて出てしまっていたのだった。
「うーん、精霊の特権? なのかな?」
そんな姿を見ながら独り言を未だに呟いているシュンを傍目にしつつ、自分も手早く身支度を始めるのだった。
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「あっ──! シエル様!」
「シエルー? 遅いぞー?」
「──待ってた」
自分の姿を見てか、ナビとヘルメス──そしてレイが声を掛けてくる。
3人を見てみたら可愛らしい私服を着込んでいるのだった。
(ヘルメスは前回の買い物のなのだろうけれども──)
そう、ナビとレイに至っては少しずつ少しずつ──自分の好みも出てきたのかお洒落というものに目覚めては可愛らしく着込んでいるのだった。
「シエルくーん?」
(おっと──)
少しだけ、自分の世界に久しぶりに浸かってしまっていたからか──そんな自分を不思議に思ったのか近づいて来たリンが自分に声を掛けて来てるのだった。
「大丈夫ですか?」
『あぁ──マリ、大丈夫……少しだけぼんやりしちゃってただけだよ』
「む? シエル殿は寝不足か?」
『あぁ──と、うん大丈夫。行こうブリッケンさんの工房へ』
シリウスが機敏に反応してきてくれていたが、実のところの理由は見惚れてたとは言えない手前──曖昧に濁しつつ本日の目的のブリッケンさんに会いに商業区エリアの工房へ行こうと皆へと促すのだった。
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