『コロシアム⑧』
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「来週ですか……私に果たして務まりますでしょうか?」
「ん──ナビ以外は考えられない」
そう鼓舞するような声がイアンの代表室から出て皆の下へと向かってる最中に聞こえてくる。
「あっ──シエルくん」
「お兄ちゃんとの話し合いは終わった?」
『一応終わったかな?』
少しだけ歯切れの悪い返事をしてしまいリンの顔が難しい顔になるのと同じく──。
「ふむ、私が予想してみせよう──コロシアムの件ではないかね?」
「まぁ、そのくらいは俺も予想は付くがな」
「僕もシンに同じで」
そんなリンの難しい顔と同じく、したり顔でボンが自分とイアンの話の内容に当たりを付けてくる。
『まぁ、そんなところかな』
渡りに船だとばかりにボンの意見に賛同するが──先程まで和気あいあいとしていたナビとレイからは勘ぐった視線が来ているを感じるのだった。
*
「だが──あれだな? シエル? お前武器はどうするんだ?」
『あぁ──っと……』
「確か──今回のコロシアムは魔法は禁止にて、実剣での闘技になるのだっけか?」
バルの問いに言葉を詰まらせると、シュンがそれを継ぐように補足してくれていた。
「ブリッケンさんの所で大丈夫じゃないの?」
「だよねー……随分と会ってないし、私も会いに行きたいかも!」
そのやり取りを見ていたマリとリンがブリッケンさんの名前を出すのはすぐだった。
『でも、忙しくないかな?』
そう──脳裏に思い浮かぶのは商業区エリアの端から……中心部分へと居を構えたブリッケンさんの姿だった。
昔の敬遠とされてた雰囲気はどこ吹く風か──今は引っ切り無しオーダーが飛び交う人になっていた。
それも自分と出会った事で一般的な物も含めて手広く作製するようになった背景もあるからではあるけれども──。
「む? ブリッケンの事か──彼はシエルに会いたがっていたぞ。それにシエル殿なら最優先で対応するはずだぞ?」
自分の話に耳を傾けていたであろうシリウスからも打診が続く──。
「シエル? 僕……シリウスの管理するエリアも見てみたいな?」
そして、とどめというばかりに商業区エリアに関心を寄せたヘルメスからもお願いが出てきたのだった。
「明日ならまだ休日ですし──シエル様、大丈夫だと思いますが……」
「シエル──行こう」
最後はナビとレイの返事で皆で明日、ブリッケンさんの所へと行くことが決まるのだった。
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