『コロシアム⑥』
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「シエル──お前は今回のギィーの行動に関してどう思う?」
『えっと──どうとは?』
少しの間の沈黙の後にイアンは自分に視線を向けて質問を投げ掛けてくる。
自分はそれについての意味する所が分からずに曖昧に返事をするしかないのだった。
「そうだな──突然こんな質問されても困るか」
「……リッチさんの見立てになるがギィーに関してはそこまで頭の回るタイプでは無いらしい」
『それは以前──そうですね。見掛けた際にでも思いました』
そう──ギィーに関しては以前の議会の時以降にも見掛ける際もあったが……確かにイアンの話した通りに頭を働かせるタイプというよりは感情を優先して行動を起こしている面が大きいように思えていた。
「あぁ──それにハンネスの件の際も疑いは掛けられてはいたがあくまでもギィー自身の派閥の人間では無く、その仲介していた組織が黒だったらしい。そしてその組織もハンネス自身が動かしていたとも調べは付いている」
『──えっと、そうなるとイアンさんは……自分に何を伝えたくて?』
自分の意見を聞いた後にイアンは補足するように情報を付け加えていく。
自分はその情報を聞きつつもイアンの伝えたい部分に関しての見当が付かなく質問を返す。
「あぁ──すまないな。その……なんだ、今回はギィー周辺を追ってはいるが──リッチさんからはその背後に気を付けろということだ」
『背後ですか……』
「あぁ──中央に関してもきな臭い動きが最近多いらしい」
『きな臭い動きですか?』
自分の言葉にイアンは頷いて応える。
「リッチさんが民衆派の中でも穏健派なのもあっての情報網かも知れないが──どうやら中央の……いや、国を守護する立場の白拍子達の動きが怪しいらしい」
『えっと──それはどのような……?』
自分の疑問の言葉にイアンはこちらを見つつ話しを更に深めていくのだった。
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