『コロシアム④』
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「えっと──僕もなのかな?」
「それに──我もなのか?」
そう──イアンの視線は……ヘルメスとシリウスの方にも向いていたのだった。
「あぁ──ヘルメスとシリウスの正体に関しては知っている者は少ないからな……助けて貰えたら助かる」
「そ、そっか……」
「──だが、ヘルメスに限っては……その、なんだ。嫌なのなら無理強いはしない」
一瞬、過去の記憶が蘇ったのだろうか──暗い顔をしたヘルメスの様子を見てイアンは言葉を添える。
「ううん──大丈夫。それに今は前とは違うから平気だよ」
そんな心配そうなイアンに対してヘルメスは大丈夫と表情でも分かるように明るく努めながら返事を返すのだった。
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「俺たちは大丈夫なのか? 俺もこいつも──いや、フィンも軍及びギルドの特待生だったが?」
「それを言うなら私もある程度顔は知られているが?」
「正直──そう言ってしまうと、今ここに居るメンバー全員が怪しくなってしまうからな。それでも、警戒は薄いだろうという理由で学生の身分の中での今居るメンバーになっている」
イアンはどこか苦しい表情をしつつも、シンとボンの疑問に答えるのだった。
「コロシアムの日──近い」
そして、今まで黙って話の様子を見守って来ていたレイが口を開くのだった。
「確かに──次週の休日か……」
「イアンさん、メンバーは改めてこれで動くという事でしょうか?」
「あぁ──そうなる」
レイの声にバルも今一度、開催時期を確認する。
シュンの確認にイアンも再度頷いた事で皆も腹を決めたのか表情を引き締めるのだった。
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