『広がる世界②』
世界は、人と人との繋がりの、構築で増えていく
そして、環境の変化は、新たな出会い
それは、広がる世界を、意味している
『もし、ご迷惑を、お掛けでは無かったのでしたら、通いたい、と思います』
ん、シンプルにだ。
Simple is best.
そう、シンプルに、もう削る所がない位に、この気持ちよ、届け!・・ヒューズさんに!
・・・じゃない、何か言わされたような、気もするが、気のせいだよね?
(「・・・」)
ナビさんは、無言か。
どうやら、ナビさんでは、無いらしい。
「ふっ」と、苦笑を表情に貼り付けようとして”また”上手くいかなかったのだろう。
ヒューズさんは、心配そうな顔を、こちらに見せながら。
「問題はないよ。ガイウス叔父様も、私も、シエルさんの支援をしたいと、お互いに、話をしていたんだ。当たり前なんだよ。トーリとカーラ・・、そう、シエルさんの、父と母は”僕”の友人、いや、親友の子供なんだから」
〝それに私・・いや、僕は、相手に恵まれなかったけれども、こうやって、2人の愛の形である、シエルさんを見た時に、サポートをしたい、と思ったんだよ〝と、最後に付け加えながら、ヒューズさんは俺に、心境を話してくれた。
(”僕”か、ヒューズさんは”実は”もう少し、本来は砕けたような話し方が、自然なのだろうか・・?)
(「はい、そう思います。1人の時は”僕”そして、シエル様の事はシエル”くん”と、呼んでおられました」)
・・??
ちょっとお待ちなさい、ナビさん。
”1人の時”に、ですと?
(ナビさんや、ナビさんや、どうやって、1人の時の”言葉”が分かるのかな?)
(「ええ、存じます!私は、ネットワークにも、魔力・・、今は目に見えて、分かるでしょうけれども、世界を包み込んでいる、魔力層があるところは、私の活動圏内でもありますから。”独り言”や”魔力ネットワークを通じての情報”なども”ある程度”は分かります」)
”えっへん”と、このやり取りも、以前あったような気がするが、ナビさんは胸を張るよう・・胸?
(「・・・・」)
おっと、いけない。
クールに行こうぜ、兄弟。
ははっ、どこのセリフだったかな。
そう、クールにだ。
重要なのは胸ではない、断じていう、胸ではない。
ナビさんの情報収集能力だ、誰しも、そんなに、簡単に出来るものなのだろうか?
(「いいえ、誰でも、ではありません。シエル様、及び、私の魔力量、そして、適切な魔力回路があってこそ、得られる物です」)
・・気のせいだろうか。
ちょっと〝ツンッ〝とした感じで、返事が返ってきた。
とりあえず、あれ、だな。
”ナビ、いつも本当にありがとう”と、普段より”ちょい増し”で、優しくを、意識して、感謝を述べてみる。
(「ふふ・・」)
効果てきめん?!
ちょ、チョろい?!
待て待て、・・・いやいや。
・・・視線を感じて、前を向くとやはり、いや、当たり前か、心配そうな顔パート②みたいな形で、ヒューズさんがこちらを、見ているのだった。
お返事を返さない、と・・そうだった。
うん、ナビのお話も聞いていて、答えは、もう決まっている。
そう、それは・・。
(No, thank youで!)
(「なんでですか?!」)
ふっ・・・、自分にもたまには、出来る返しはあるのさ。
(「・・・・」)
どこか”むぅー”と、言いたげな雰囲気を感じつつ、ヒューズさんに、お返事を返すのだった。
『すみません。色々と、考えてしまって、最初に、お伝えしていた通り、ヒューズさん、ガイウスさんを、頼らせてください。まだ、知らないことも多く、僕は学びたいと思います。いつかは、この名前の意味も持つ通り、教えられる立場にもなれたら、素敵だとも思ったのです』
ヒューズさんは、どこか安心したように、顔を崩しながら、”トーリ、カーラ・・僕は僕で、シエルくんを支えるよ”と独り言、・・ではないな。
口から、言葉を零して、そして、今まで見た中で、一番の笑顔で、頷いたのだった。
何も感じない人なんて存在しない
人の数だけ
心の数だけ
そして、感情の赴くままに人は想いに囚われていく
しかし、それを解放するのも”また心”なのだ
ヒューズという男は解放されたのだろう
だが、その答えを知るのはヒューズのみなのだ




