『コロシアム①』
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「さて──改めてだが……説明してくれないか?」
ヘルメスとシリウスの一件から数日……やっと落ち着いて来た頃合いに自分たちは宿舎から呼び出されてイアンの目の前に立っていた。
「えっと──お兄ちゃん?」
「お兄ちゃんじゃない──代表と呼べ」
「えー……」
イアンはどこか照れくさそうにしつつもリンの言葉を訂正していたのだった。
*
宿舎とは言ったが自分は……他の皆も学園寮で過ごす事もあるが今はヘルメスとシリウスの件もある為、リンクス本部内にて寝泊まりしている時が多くなっていたのだった。
『ヘルメス? ごめん──改めて説明して貰えないかな?』
「ん? シエルが言うなら……」
そう前置きをしつつヘルメスは自分たちに聞かせてくれた内容をイアンに伝える。
「ハンネスの地下施設? そのルートがギィーは把握してるというのか……」
「そこまでなのかは分からないとは言いたいけれども──彼らの動きはそんな感じかも」
「コロシアムの日に仕掛けて来ると思うか?」
「僕はそこまでは分からないよ? まだ……その心っていうのも最近感じるようになったんだから」
「そうか──」
そしてイアンは再度考え込むように目を閉じるのだった。
*
「そう言えばコロシアムなのですが……」
「どうしたんですかセーレさん?」
「いえ、コロシアムに関してなのですが……」
マリが再度、問いかけるとセーレさんはコロシアムの情報に関して聞かせてくれるのだった。
「コロシアムをエリア管轄の争奪権に使おうと?」
「は、はい。 どうやらギィーの一派がそう周囲へ働き掛けているようです」
バルの問い掛けにセーレさんは補足を加える。
今現在も問題として浮上している賭博エリアの管轄問題──リッチ派とギィー派の派閥間抗争にコロシアムを利用しようという動きが出ているようだった。
「待て、セーレ。 リッチさんはどう言っているんだ?」
「そうですね……リッチ様は逆に利用出来ないか? とおっしゃっていました」
「利用か……」
「はい、この地下施設の件に関しても──何か大きな動きの際にかこつけて動くのではないかと……」
セーレさんの説明にイアンは頷きつつ聞いた後に──。
「なるほどな……だから、こんな連絡が来たんだな──」
そう言って自分たちに手元の資料を見せてくれるのだった。
その資料には先のコロシアムの案内と地下施設へのギィー達の動きを差し押さえる計画が書かれていたのだった。
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