『賭博エリア㊴』
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「そうなると後はこのまま朝まで耐えれば──」
「あぁ、シュン──そうだな。俺たちの勝利……という感じだな」
少し落ち着いて来た頃にシュンとバルが今の状況を整理していた。
「シエル──」
『どうしたレイ?』
「これ──」
そのままレイが魔力ネットワークを繋いでトレンドと動画を共有してくれる。
そこには……、綺麗に自分たちが白銀の流星群と名付けられてリンクス本部内に降り立つ様子とそれを見てトレンドにも上がり、盛り上がったファンや野次馬がリンクス本部を囲むように居る様子だった。
「あいつら……戻ってこないと思ったら、外は大事になっていたか」
「ですが、逆にそのおかげで手出しも出来ないでいる状況かもですね……」
「確かに──それはそうだな……」
イアンの言葉にナビが反応して、イアンも考え直しては頷いていたのだった。
「あれ? けれどもシリウスはそうなるとどうやって玄関までこれたの?」
「む? 我か?」
ふと思い至ったようにリンがシリウスを見ながら疑問の声を上げる。
「普通に来たと言いたいが……そうだな」
そしてシリウスが青白い光に包まれると、そこには小鳥サイズになったシリウスが居た。
「えー?! 凄い!? どうやったの?」
一番に驚いていたのは同じマザーのヘルメスだった。
「先も話してた願いの結果なのではないかヘルメス?」
「願い?」
「あぁ。我は何者にでもなってみたいと願ったからな。ドルマンと居て色んなものに触れ合って興味が尽きなかったのだ」
「──なるほど」
「うむ」
ヘルメスとシリウスの間で通じるものがあったのか、お互いにそれで理解したのか頷きあっていたのだった。
「そうなるとシエル様、後は私達でこのまま結界を維持しておきましょう」
『そうだね──向こうにも良いかく乱になるかな』
ナビと頷いては、今日はこのまま皆で身を寄せ合って朝まで過ごすことにするのだった。
*
そして、朝とは早いもので直ぐに訪れるのだった。
そこからは電撃が走ったように世間に衝撃が走ったのは言うまでも無いだろう。
中央からではない、リンクスを通しての発表と後ろ盾に軍とギルドの代表も居る事。
何よりもマザーがエリア間を移動できるようになった衝撃も凄かった。
ただ、大きな混乱は起きなかったのは予想外だったかも知れない。
ある者は既に白銀の流星群で何か大きな発表があるかもと告知していたこと。
自分とナビのファン──世間の大きな味方が……世論が働いたのも大きかったのは否めない。
最終的には中央からも特別措置として、今回の発表を認める見解が昼にはなされた事で事実的に正式にヘルメスとシリウスのリンクスへの加入と自由が認められたのだった。
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