『賭博エリア㉟』
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「あっ! お兄ちゃん! おーい──!!」
「あっ! リン! 今話したら口が……!」
「えっ? うぇぷっ……」
マリはギリギリ大丈夫だったのだろう。
リンはマリが忠告した時には既に遅かったらしく──リンクス本部内へと降下してる最中の空気を思いっ切り吸い込んでしまっていたのだった。
*
「お前達か──一体全体どうし……いや、待て──早く中に入れ」
「他の者は周囲のマスコミを見かけたら離れさせろ──!」
イアンは最初はどうしたのかといった感じで問い掛けてくる雰囲気だったがヘルメスを見た瞬間に即座に表情を切り替えて指示を周囲に飛ばすのだった。
「シエル? いや、説明出来る者なら誰でもいい──説明を頼む」
「えっと──お兄ちゃん、あのね?」
「──すまん、リン以外で頼む」
「えっ──?!」
一瞬、間が開いたタイミングでリンが私が! といった風情で話そうとしたところ、イアンから待ったが掛かる。
それに対してリンが不服を唱えようとしたところで──。
「す、すみません……」
「えっと……先程の白銀の輝きは──?」
正面玄関が開かれて、そこには今しがた慌てて着いたであろうセーレさんが居るのだった。
*
「なるほどな……、話は分かった。それで、これか──」
「は、はい──! その……私も中の内容までは知り得てはいませんが状況を察するに──」
「分かった。とりあえず読ませて貰おう」
自分たちの話を聞き、イアンさんはセーレさんから一通の魔力化し封印された手紙を受け取って読み始めていた。
「それにしても俺にだけしか読めない手紙か……」
「じじいじゃないと俺の指紋も属性の質も分からないからな……」
「……! ────」
最初に手紙を読み始めた辺りは言葉が少なからずあったイアンだったが読み進めていく中で──静かに読み進めるようになっていく。
そして、読み終わったのだろう。
最後は自分たちの時みたいに、目の前の手紙が完全に消えていったのだった。
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