『賭博エリア㉞』
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「イ、イアンさん!」
「イアンさん──! 起きてください!」
「──ったく、どうした? こんな夜中に?」
「そ、空が!」
「空? 寝ぼけてるのか?」
「ち、違うんです!」
「──待て、それだと丸っきり伝わらないぞ? すみません、夜更けにえっと緊急事態かも知れなく……」
そして、2人がイアンに今見た話しをかいつまんで話す。
「他に眠ってる者を起こして──体制を整えろ!」
「俺は先にその正体を見てくる──!」
「「了解です、リーダー!」」
「……ったく、もうリーダーじゃないんだがな」
そして、2人が急いで他に泊ってる者を起こしに向かう中──イアンはリンクス本部内の正面玄関前の庭へと向かって駆け出すのだった。
*
(「シ、シエルくん! すごい! 凄いよ!!」)
(「世界を置き去りにしてるみたい……」)
(「綺麗……」)
(「僕の知らない世界──世界はこんなにも広くて美しいんだ……」)
女性陣の会話がテレパシー上にて聞こえてくる中──行政エリアがもう少し先で見えてきそうになっていた。
(「シエル──」)
(「そろそろ行政エリアだぞ──!」)
バルとシュンの声も遅れて聞こえてくる。
2人の声を聞いてか緊張感が高まって来たのか皆静かになっていく。
(「あれが──行政エリア……」)
(「シエル様──! イアンさんの気配を感じます!」)
(『ん! こっちでも把握してる! そこに降りよう……! ナビ調整を頼めるか?』)
(「はい! ──任せてください!」)
ナビの声を聞きながら、大きな動きに関しては自分がコントロールをする。
細かい部分はナビに頼りつつ──少しずつ、少しずつリンクス本部内へと進路を向けていく。
(「あっ──まだ、パパラッチとか居るんだ!」)
(「シエルくん? 大丈夫でしょうか?」)
(『もう既に──なるようになれの状態だからね。構わない、行こう!』)
リンの視界に未だにリンクス本部に張り付いていたカメラマンを見つけたのか教えてくれる。
マリもそれを聞いて疑問を投げ掛けてくるが既に、ここまでの経緯を思い起こせば小さな事は明白でもあって──自分はこのまま強行突破を仕掛けるのだった。
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