『賭博エリア㉝』
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「た、高い──!」
「あっ──でも、綺麗……」
リンの声が聞こえてくるのと同じく、マリの声も聞こえてくる。
「確かに──これは……」
「綺麗だな……」
バルとシュンの声も聞こえてくる。
『皆! そろそろ行くよ! 会話は──』
(「分かってる、テレパシーだよねシエル? 精霊の力も……使って」)
「今日はご褒美?」
「白銀の子……どうしたの?」
「こんばんは? おはよう?」
レイの呼びかけに応えたのだろうか──先程居た精霊も居るのだろう……精霊たちの声が聞こえてくる。
『行政エリアのリンクス本部まで行きたい』
「リイン……クス?」
「美味しいの?」
「リンクス?」
「飛ぶの……手伝う」
精霊の気ままな返事も混じる中、手伝ってくれる声も聞こえてくる。
『じゃぁ──行くよ!』
(「またね──僕のエリア……また帰ってくるから、ね」)
ヘルメスの少しだけ切なそうな声を皮切りに行政エリアのリンクス本部まで白銀の力を伴って、皆で空中移動を開始する。
ただ、この時は分からなかったが──自分たちの移動は闇夜に輝く白銀の流星群のようになっており、魔力ネットワーク内で一気にその様子が取り上げられトレンド入りし始めていたのだった。
*
「なぁ……今日も夜空が綺麗だな」
「なんだよ──また? どうした?」
「いや、こうやってリーダーに着いて来て──こんな良い場所で働けて良かったなってさ」
「まぁ、な」
「それになんだか今夜の空は凄く輝いて見えて綺麗なんだよ。なんでだろうな? ほら、あっちの空なんて──」
「ん? あぁ──確かに綺麗だな。まるでこっちに落ちてきそうな?」
「だな……? 落ちて──いや、待て?」
「──落ちて来てないか?」
「り、リーダー! イアンさん……!」
「イアンさんは代表の寝室だ! 落ち着け……!」
「す、すまん! 呼びに行こう!」
「あぁ──!」
そうして、イアンの元部下だったメンバーの男二人は慌ててイアンを起こしに代表の寝室へと向かうのだった。
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