『賭博エリア㉛』
────
『皆、飛ぼう』
「え?」
「と、飛ぶって──どこを?」
自分の声に驚いたマリとリンが反応をしてくる。
「シエルくん、私……確かに風属性の適性があるけれども──お兄ちゃんみたいには飛べないよ?」
『いや、使うのは……自分の白銀の力だよ』
リンが自分の提案に即座に反応をしてくる。
「いや、だがシエル? コントロールはどうする? 俺たちは……シュンもだが飛んだ経験はないぞ?」
『ナビ? 力のコントロールは出来そうかい?』
「やってみないとですが……シエル様がそれを求めるならば私は最大限フォロー致します」
「私も忘れないで──精霊の力でもサポートする」
続いてバルが疑問を投げ掛けてくるが、リン同様に返事を返す。
「シエルくん? でも行き先はどうするの? 学生寮?」
「リン、それはダメよ。 ドルマンさんの文面を思い出して学園寮のマザー……ドリーさんは中央の管理下だよ」
『今日はこのまま直接リンクスまで行こうと思う』
「でも、あそこにはフェニちゃんが居るよ?」
「いえ、リン──それが一番安全かも。リンクスは唯一の安全圏……ギルドも軍も中央も不可侵の場所。それに先の話だとセーレさんが向かってるはず──合流した方が良いかも」
「なるほどね……」
飛ぶ事には納得してくれたのか、続けての疑問をリンは聞いてきた。
マリも同じ考えになったのか自分の提案のリンクスに向かう事に反対はしなかった。
「泊まる場所はどうするの……?」
「レイちゃん、それは大丈夫だと思います。リンクス本部内には宿泊スペースも有りましたから、そのまま移住してるメンバーも居るはずです」
「あっ! お兄ちゃんはもう既に住んでるはずだよ?」
「なら、決まりだな」
「だな、バルと同じで俺も決まりだと思う」
泊まる場所に関して、レイの疑問にナビはリンクス本部に関して調べ上げていたのか宿泊機能に関しても答えていた。
それを聞いてリンもイアンの……兄の事を思い出したようで住んでいる事を告げていた。
バルとシュンも一連の流れを聞いて納得したのか頷いていた。
「僕は皆に……シエルに付いていくよ」
『一緒に行こうヘルメス』
「うん!」
そんな皆の姿を見つつヘルメスは自分に近寄って来て、皆と一緒に……自分に付いてくる事を改めて告げてくる。
そんなヘルメスに頷いて応えると、ヘルメスの不安そうな顔は明るい顔になり嬉しそうに返事を返してくるのだった。
『行こう──! こちらに向かってくる気配が近くなって来てる』
「「おう!」」
「「はい!」」
「「「うん!」」」
そして、自分たちは飛び立つ準備を始めるのだった。
coming soon




