『広がる世界①』
世界は一歩を、歩き出したら
そこからは、広がっていくものだ
名前の由来は、実に、あっけないものだった。
「教える者、教えられる者。お”シエル”。うん、そこから、だね」
”シエルさんの、父母の名付けそうな名前だよ”と、ヒューズさんは、どこか朗らかに教えてくれた。
『なるほど・・、ありがとうございます。そういう存在に、なれたらよいのですけれどもね』
控えめに、コメントをしておくことにする。
そう、出来る男は返す言葉も”スマート”なのだ。
確か、自己啓発本に、書いてあったような・・。
(「そんなことはないです・・・」)
いや、何も聞こえない。
うん、気のせいだ。
華麗にスルーさ。
(「・・・・」)
視えない。
視えないぞ。
凄く、ナビさんからの視えない視線を、感じるが・・。
”また”顔が下を向いていたのか、気づいて顔を上げたタイミングで、ヒューズさんがタイミングを見ていたのか、「コホン」と、咳ばらいを1つたてた後に、話を始めてくれた。
「シエルさんは、もう、普通に出歩けて、生活も出来るようになっている。以前、会ってくれた叔父・・ガイウスさんは知っているかな?彼も、そして私も、同じ提案なのだけれども、1ヶ月後には中学校が始まるんだ。どうだろう?通ってみないかい?」
〝いえ。まだ、日常生活が辛いようでしたら、良いのですけれども…〝と、ヒューズさんは、こちらを窺いながら、話を続けてくれている。
(中学校か・・、流石、学院か・・、それにしても、ふむ。”旧世界”と、いわれてる時代での言葉が所々に感じるな、これは名残みたいなも・・)
(「シエル様!お願い致します。中学校へは、入学式から・・いえ、通ってください!」)
突然の、ナビさんの声。
そして何故か、少し、慌ててるような・・?
(「すみません。突然・・ですが、必要なのです。行ってみれば、分かります。まだ、詳しくは、話せませんが・・」)
少し、言葉を濁しつつ、言葉の最後には”私も旧世界の名残だと思います”と、同じ意見だったのを、嬉しそうに答えながらも、ナビは自分に、学校へ通うように、話して来たのだった。
そして、シエルの世界は広がっていく
物語は次の章を望んでいるのだろう
それが、どんな結末を産むのかは分からない
きっと、それは”選択”によって切り開かれていくのだから




