『賭博エリア㉚』
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「! ──シエル様……近づいて来ているみたいです」
不意にナビが遠くを見て言葉を告げてくる。
自分の意識も同じ方向へ飛ばして行くと先の特殊な訓練を施された──いや、中央の者だろう気配が先程よりも近い位置で感じるのだった。
『そっか、もう既に陽が落ちて──急いでここから離れよう』
「シエル様……ここから近い──いえ、多分この感じは」
「ん、ナビ──ホームはダメ……精霊がざわついてる」
ナビが魔力車のホームからの移動の提案をしようとするが、そこにレイが待ったを掛けていた。
確かに精霊のざわつきをホームの方面から感じる。
精霊は人の環境にも影響されやすいのかピリッとした空気にざわついているようだった。
「なら、どうする?」
「徒歩……は流石に苦しいぞ?」
バルの疑問にシュンが無難な一番最初に思い付くであろう徒歩を考えたのかすぐにそれは難しい事を告げてくる。
「何か良い方法……」
「魔力車──はダメで、徒歩は……論外ね」
リンとマリも考え始めたか思案顔になる。
「えっと──僕は嫌だよ。離れ離れになるのは?」
「ん、大丈夫。シエル──が一緒に居るなら安心」
一気に不安そうな表情になるヘルメスにレイが寄り添って落ち着かせているが……完全に自分を信じているのか安心しきった表情をしていた。
「私とシエル様……なら何とかなったかも知れませんが──」
(ん? そっか……!)
ナビのポツリと呟いた声に自分の頭の中で閃きが生まれるのを感じるのだった。
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