『賭博エリア㉓』
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「ヘルメス──君はおかしいとは私は思わないか?」
「う、うん──」
「むしろ、マザーだからという理由で縛りが発生することに私は違和感を覚えているのだ」
『えっと──それは……』
「マザーが自ら縛っているのではなく、マザーだからこそ縛られているのだと私は思っている」
「僕は自分自身で縛っている訳じゃないということ?」
「私の推論ではそうなる。そして自我が芽生える事で、そのコントロールから抜け出して本来の精霊の性質に戻っていると考えている」
そう言って、リッチさんはヘルメスをどこか優しい目で見るのだった。
(だけれども──その考えは……)
「リッチさん、すみません。ですがその考え方だと管理している……、そう──中央が関わっていると」
「俺もバルの推論と同じだ。リッチさん、それは危険な考えでは……?」
自分と同じ考えに落ち着いたのだろう──バルとシュンがリッチさんに思想に関しての注意喚起をするのだった。
*
「セーレ、すまない。資料を彼らに──」
「は、はい!」
そして自分達の手元には幾つかの資料が展開される。
「マリくん、すまないが──こういうのは酷かと思うが中央には秘密で頼みたい」
「……分かりました」
そして、マリの返事に合わせてだろうか。
マリの方にも資料が届いたようだった。
(これは……)
手元に届いた資料はドルマンさん、ガイウスさん──そしてブリッケンさんの調査した内容だった。
「そう驚かないでくれたまえ、一応これでも私は彼らの”秘密の友達”なのだから」
「表立っては言っていないので以降も内密に頼むよ」
自分達の頷きを確認したのかリッチさんは大きく頷いて──資料を読むように促して来るのだった。
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