『賭博エリア㉑』
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セーレさんの声と共にまずは可視化されてる視界が広がり──セーレさんの横に居た男性も一緒に映し出される。
「ん──セーレよ、ご苦労」
「は、はい──!」
その男性はセーレさんへと労いの言葉を掛けると真っすぐに視線を可視化越しに自分達へと向けてくるのだった。
(こうやって対面するのは初めてだな……)
映し出されている男性──リッチさんは、シャドウ事件の際の議会の場で見た姿と変わらずに上品であり──且つ清廉さを兼ね備えて映っていた。
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「ん──すまない、しっかり聞こえているだろうか」
『はい──しっかりと聞こえております』
「ん──そうか、それならば良かった。そして、初めましてだな英雄よ」
『自分は決してそのような──』
「ん? 世間ではそれが常識になっているようだが──そうか、そう言われるのは好まないのか。これは失礼した」
『いえ──』
リッチさんは軽い挨拶にと世間での評価を持ち出したのだろうが──自分の反応を見てすぐに切り替えて謝罪を述べてくる。
「早速ですまないが──ヘルメスは居るだろうか?」
「僕ならここに居るけれど……」
「ふむ──体調や精神……接続に異常は……見る範囲では大丈夫そうだな」
『すみません……いったい、どのような用事で自分達に連絡を?』
その場の全員で思っているであろう疑問を自分がリッチさんへと問いかける。
「ん──そうか、確かに話さねば分かるまいな。少し順を追って話そう」
『すみません、宜しくお願い致します』
そして自分の問い掛けに一拍置いて思案顔になったリッチさんは表情を戻すと現在の会話に至った経緯を話し始めるのだった。
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