『賭博エリア⑯』
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「ギィーの区画の方で不可思議な空間が感じられるんだ」
『空間……?』
「多分、地下を掘り進めてるのかも?」
「えっと──それはどういう……」
「掘り進めた先が多分、ハンネスの地下施設に繋がっているから……」
「黒いですね──」
自分とセーレさんが合間に疑問を挟みながらも、ヘルメスは自身で分かる範囲の情報を教えてくれる。
「地下施設か──」
そう言いつつ、バルは思案顔になる。
「あそこの惨状は中々でしたからね」
「ギィーはそれを知ってもなお……繋げたということ?」
マリの言葉にリンは訝しげな表情になりつつ言葉を吐いていた。
「シエル──ギィーは危険」
「確かにハンネスの地下施設に関しては未だに全貌は分かっていませんから──」
同じく話を聞いていたレイとナビも反応を返してくる。
「とりあえず、この話はイアンさんに繋いだ方が良さそうだな」
最後にシュンがそう言って締めくくる。
*
「……シエル達帰っちゃうの?」
シュンの言葉で状況を見守っていたヘルメスは自分達の帰宅を察してか──少し慌てた声音でそう尋ねてくるのだった。
『えっと──また来るから……』
「……」
『──ヘルメス?』
「行く──」
『え?』
「私も一緒に着いて行く……」
『えっと──ヘルメス?』
そう言ってヘルメスは自分に近づいて来て──ひしと腕を掴むのだった。
*
「えっとヘルメス様? そのエリアの管理は……?」
「多分、大丈夫……な気がする」
「外には出れるのですか?」
「シエルが居るなら──怖いものなんてない」
「えっと──」
「……着いてく」
セーレさんに続いて、他の皆もヘルメスに声を掛けるのだがヘルメスの意志は固いのか首を断固として縦に振らずに自分の腕を強く握るのだった。
「えっと──ナビ? これって大丈夫なのかな?」
「私にもそれは……なんとも」
「レイちゃんも何か分かる……?」
「────分からない」
マリはナビに、リンはレイにそれぞれ問い掛けるが──2人ともその答えは持っていなかったのだった。
「シエル──責任を持って……行くしかないんじゃないか?」
「俺もシュンに同意だ──それも含めて判断してここに来たんだろう?」
シュンとバルは逆に腹を括っているのか幾分か冷静に判断しているみたいで、自分に声を掛けてくるのだった。
『そうだね──何が起こるかはまだ分からないけれども……試してみようか』
「シエル様がそう言うのでしたら──私もサポート致します」
「……ありがとう、シエル」
自分の判断にナビが継いで言葉を続けてくれて、その判断にヘルメスは嬉しそうに微笑んでは自分の腕に顔を摺り寄せてくるのだった。
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