『賭博エリア⑮』
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「精霊の可能性ですか……」
「ん──? だが、その……ヘルメスは精霊と言っても人工精霊だよな?」
ナビが一通り先程の推論を話すとセーレさんはどこか納得するように頷いていたが、バルは申し訳無さそうに疑問を呈するのだった。
『確かに──ヘルメスは人工AIと結びついて……』
「ヘルメス? その辺は何か実感があったりするのでしょうか?」
「うーん──でも、名前を貰ってから……正直に話すと独立したような気がするんだ」
『独立……?』
「僕は僕? みたいな? なんだろう──縛りが無くなったような……?」
自分とナビの問い掛けにヘルメスも改めて自分を探るように思慮に入るのだった。
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「──ナビ様は願いと言ったけれども……」
「はい……?」
「もし願いが叶っているならば──僕はエリアから外へ出れるようになっているかも」
「えっと……それは完全な自律ということに──」
深く……あれから深く考え込んでいたヘルメスは1つの可能性を打ち明けるのだった。
けれども、その内容のエリア外に出れるというのは完全に自身さえも掌握しコントロール出来るようになっていると言っても過言ではない予想だった。
「それは後ほど試してみたいところですが……」
「──シエルとなら僕……外に出れると思うよ?」
ナビの問い掛けにヘルメスはなんてことはない風に言い切る。
そんな微笑ましい一幕に見えるが自分の背後では少しだけ冷たい視線が現在も自分に降り注いでいるのが感じられるのだった。
*
「あ……でも、その前に何か僕に用事があって──シエル達は来たんだよね?」
そう言いつつヘルメスは可愛くコテンと首を傾げつつ自分達に問いかけてくるのだった。
『そうだった──えっと……実は──』
そして自分はやっと今回のヘルメスに会いに来た要件を伝えられるのだった。
「賭博エリアの管轄──それは僕も魔力ネットワークを見ていて知っていたけれども……」
「ギィーの暗躍……か、うーん──」
『何か知っていることはあるかな?』
「あるというか──その……」
ヘルメスはどこか曖昧にしつつも自分を──そして視線を向けて来ている皆へと視線を動かして、そして話し始めるのだった。
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