『賭博エリア⑫』
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スルスル──とヘルメスは自分達が近くに寄ったら服をは脱いでいく。
「えっと──ここからシエルはダメ」
『あ、う──うん』
柄にも無くドキッとしてしまい、返事も上擦ってしまい普段しないような反応で返してしまう。
(いや──どう見ても……)
ヘルメスを見ないように振り返りながら先程の光景を思い起こす。
そう──薄着の上からでも分かる胸の膨らみに……やはり男の子の服だからこそ分かる違和感があったのだった。
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スルスル──と更に背後では薄着を脱いでいる音が聞こえてくる。
「えっと──ヘルメス? これはどういう……」
「僕にも分からない……」
『えっとナビ──? ヘルメスはいったい……』
「「振り向いちゃダメです!!」」
一瞬でも振り向きそうなアクションを起こした自分が悪いのは百も承知だったのだが──背後から余りにも慌てたような凄い声音で2人から言葉を浴びせられるのだった。
「確かに──僕はここへ来たときは……その男の子だったんだ」
「それは私にも分かります──ですが今のあなたは……」
背後のナビとヘルメスのやり取りに自分は耳を澄ます。
「うん──シエルに会いたくて、でも会いにも来てくれなくて……」
「シエルのことばっかり……ずっとずっと考えていたら──」
「ある日──初めて眠りに落ちたんだと思う……目が覚めたら僕が僕じゃ無くなっていたんだ」
「怖くなって──でも変わったのは身体だけで……でも心はずっとシエルの事ばかり考えていて──」
背後からはヘルメスの今までの語りが聞こえてくる──。
*
「と、とりあえず──私の服を……」
「ありがとう──ナビ様」
スルスル──と再度、今度は服を着る音が聞こえてくる。
「シエル様──もう振り返っても大丈夫ですよ」
『あ……あぁ』
そして、振り返るとその先にはナビの服を着込んだ──完全に女の子となったヘルメスが居たのだった。
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