『賭博エリア⑪』
────
『えーと……明かりは──』
「今、お点け致します──」
離れに入った先は明かりが無く──真っ暗闇になっていて明かりを求めているとナビがすかさずに明かりを点けてくれる。
『ヘルメスは──』
「────」
天井の灯された明かりに安心感を覚えつつヘルメスを探そうとするが──隣で固まっているナビに疑問を覚えながらもナビの見ている方向へと目を自分も向けるのだった。
*
『ヘルメス──なのか?』
「う、う……ん」
「確かに──ヘルメスなのですが……」
ぎこちない返事を返すヘルメスの姿に自分の声も疑問を含めているのも自身で分かってしまっていた。
何よりもナビが自分の感覚を疑うようにヘルメスへと改めて視線を動かすのだった。
『え──でも……いや──』
視線の先のヘルメスの姿は──そう、分かりやすくいうと男装している女の子と言った感じだった。
(何よりも──)
胸の控えめな膨らみに全体的にこう……女の子というのが前面に出ているのだった。
「──へ、変だよね……」
「……嫌いになっちゃった? ねぇ……僕のこと好き──?」
自分の隠せない好奇の視線に気付いているのだろう──ヘルメスは心配そうに自分を見つめて問い掛けてくるのだった。
*
『嫌いじゃないよ──嫌いになるなんてことは無いよ』
「じゃぁ──好き?」
『えっと……』
「ま、待ってください──」
無難に返事を返したつもりが墓穴を掘っていたようで──詰められるようにヘルメスに好きなのかを問われて言葉が詰まった時に横からナビが助け舟と言わんばかりに間に入って来てくれていた。
「なに──? ナビ様?」
「ヘルメス……? えっと、あなたは男の子では……?」
「────」
横合いに入ったナビは──現状一番の疑問部分を正面からヘルメスへと問いかけていた。
『ごめん、ヘルメス──実は自分も気になっているんだ。えっと……ヘルメス──君はどっちなんだい?』
「────」
「…………いいよ」
ナビと自分の視線をヘルメスは受け止めて──一拍置いた後に了承の返事を告げる。
「こっちに──来て……」
「でも、その……シエルはまだ──全部見ちゃダメ」
恥ずかしそうに顔を染め上げてヘルメスは自分とナビに自身の下へ来るように告げてくる。
そして、ナビと共に自分はヘルメスの下へと行くのだった。
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