『美しい世界⑫』
あぁ──何故
初めてというのは
甘美な美しさなのだろうか
【そこは美しい世界だった】
by.シエル
(凄い──綺麗だ……美しい)
(「えっ!? ──えっ!?」)
何故か嬉し恥ずかしなナビの反応を見て──急に冷静になれた自分が居るのを認識しつつ時を遡る。
*
「これから案内する場所は私のとっておきの場所なんだ。疲れた際とか──夜の灯が照らしてる時、そして今からの時間帯……日の出が差し込む時間が、とてもベストなんだ」
ヒューズさんがそう言いつつ──この施設の上の階層へとエレベーターを使い、屋上テラスへと自分を案内してくれているようだった。
話してる最中に屋上へと着いたようでヒューズさんは「さぁ──どうぞ」と声をかけて、自分を先に行かせてくれたのだった。
(果たして外の世界は──どんな世界なのだろうか……)
期待? いや、それとも何かが違う。
この世界には元から自分は存在していたのだ。
ただ──ナビの救命措置に近いのだろう。
”旧世界”自分の──俺の記憶にある”夢だった世界”。
あの頃の記憶しか、今は無いのだから。
──いや、実は少しずつ……。
そう──少しずつだが確かに、この世界の記憶も蘇っている節はあったりもする。
(けれども、これから見る世界は──まずは大きな一歩になるのだろうな)
エレベーターから降りて──外のテラスへと出るための大きな……いや、このシエルの身体にとっては大きな扉を開いて、俺は外の世界を認識することになった。
世界はやはり──広大で
世界はやはり──美しく
そして世界は”変わらない奇跡”を体現しているのだった




