『賭博エリア⑩』
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「えっと──シエル? 大丈夫か?」
「聞き間違えとかじゃないのか?」
皆の下へ戻り──先程のヘルメスとの一連の出来事を話すと、まずはシュンが心配そうにこちらの顔を覗き込んでは心配そうに声を掛けて来て、それに重ねてバルも確認するように自分に話しかけて来ていたのだった。
『いや──言いたいことは分かる……けれども事実なんだ』
「でも──えっと……ヘルメスは男の子だったはず?」
「そうだよー、ヘルメスは男の子だったはずだよ?」
困った感じでシュン達に答えると、横からもマリとリンが疑問点を再度投げかけるように聞いてくる。
「えっと──私が最後に確認した際は……男の子の声と姿でしたが──」
「精霊の……マザーと思える力は確かに──感じる」
場が少々混乱し始めてる中でセーレさんは最後に見たヘルメスの姿を──レイは今でも感じている精霊の気配に感じての感想を述べる。
「とりあえず──私も一緒に行きましょう」
『ごめん、頼めるかナビ?』
「任せてください!」
少しだけエッヘンとアピールするように前に出て来たナビに心なしか安心感を覚えつつ──2人でもう一度ヘルメスの下へと向かうのだった。
*
『えっと──ヘルメス?』
「────」
「大丈夫です、気配は感じます」
再度、扉まで辿り着いてヘルメスへと声を掛けるが反応が返って来なく心配になっていると横からナビがジーと扉を見続けた後に気配がある事を教えてくれる。
「────ナビ様?」
「そうですよ」
「────」
『えっと、ヘルメス? 中に入れさせて貰えないかな?』
「…………」
ナビの存在を確認するような声が聞こえて来て、ナビが答えると暫く沈黙が訪れてしまい──長くならない内に再度、自分から会えないか問い掛ける。
カチャ──と暫くした後に扉の鍵が開いたような音が聞こえてくる。
隣のナビを見ると──開いたのを肯定するように頷いて来ていた。
そして、自分は背後に控えている皆へと合図を送り次第──ナビと共にヘルメスに会う為に離れに入って行くのだった。
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