『賭博エリア⑤』
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「これは随分と──」
「見ない間に変わったねー」
マリの言葉に継いで──リンが景観を見つつ呟く。
(確かにシャドウ事件以降か──)
全容が見れたのはあの事件の際に突撃する時だったのを思い出す。
それ以降に関しては事件以降に少しだけ怪しい残り香が無いかの確認で訪れて以来だった。
目の前に見える景色はあの事件の時の豪華絢爛な様相ではなく、こざっぱりとしてはいるが全体的に奥ゆかしさを感じる雰囲気に仕上がっていた。
「すぐに向かうか──?」
「それとも時間帯的に1回どこかで軽く食べて行く──?」
先頭を歩いていたバルとシュンが振り返りつつ聞いてくる。
賭博エリアの魔力車のホームから歩いて中枢に辿り着き──確かに言われて時間を確認してみたら少し早くはあるが軽食を取るには丁度良い時間とも言えた。
『んー……』
「シエル──シエル……」
レイに引っ張られつつ振り向いて見てみると──。
「────」
『ナビ──?』
「……ふぇ? ──い、いえ! だ、大丈夫ですよ?!」
賭博エリア内の食事処はどこも高級感溢れるものがあり、店頭の料理サンプルに目を奪われているナビが居るのだった。
自分の声に予想以上に慌てたような声を出したナビに皆の視線も集まっており──満場一致で軽食を取る事にするのだった。
*
「ここのお店──ディナーで有名だけれども、ランチも実は穴場なのよね」
「マリ──やっぱり結構お店事情詳しいよね……?」
「凄く──美味しいですシエル様!」
リンはマリへ──どこか探るような目を……。
ナビは周りでナビのファンの方が居るのか視線を感じてはいるが、どこ吹く風か気にする事も無く目の前の食事を大いに楽しんでいた。
「それで──ボンの住居はどこになるのだっけ?」
「あぁ──それなら……」
シュンの切り出しにバルが答えつつ、それを小耳に挟みながら自分も目の前の食事を堪能する。
「────美味しい」
チラッと横を見てみたら──よほど美味しかったのか普段の量より少し増した量でレイが美味しく食べていたのだった。
そして、和やかに食事を楽しんだ後に──まずはボンの住居へと向かうのだった。
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