『リンクス⑫』
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あれから数日が経った──。
高校のクラスに関しては中学から同じということで変わらずのメンバーだった。
社会活動の認可に関しても学院エリア内の行政機関に届出たところ、話が既に通っていたのか異例の速さで認可されるのだった。
そして、今日という日が来るのだった──。
*
「シエルくん達は本日はこの講義にて終わって良いからね」
『ありがとうございます』
講義の終わりの際に目の前の教師の方が自分達に伝えてくる。
(そっか、今日だものな……)
数日前に自分達へ向けて秘匿メールが送られて来ていた。
宛先を確認したらイアンからで──ざっと今後の予定が書かれていたのだった。
「シエル──行こうぜ!」
シュンがどこか生き生きとした声で自分へ声を掛けてくる。
周りを見てみたら、皆もどこか生き生きとした表情になっていた。
『あぁ──分かってる、行こう』
そして皆で行政エリアに向かうのだった。
*
「うわっ──! どうしよう!」
「ちょっと、流石に人が多いですね──」
リンとマリが驚くのも当たり前で、行政エリアのホーム着いて降り立った先は人混みが凄いことになっていた。
きっと、本日の催しの為に集まっているのは想像が容易だった。
「お前ら──こっちだ!」
そんな降り立った自分達の背後からイアンに似た声が聞こえて来た。
振り返った先にはフードを目深に被った人物が居て、それがイアンだと雰囲気で伝わって来たのだった。
「早くしろ──! 気付かれると巻くのに大変なんだ」
イアンの声が届いて来る頃には周りも自分達に気付いた者が出始めたのか視線を感じ始めていて、導かれるままにイアンの後を追うのだった。
*
「ふぅ──ここまで来たら大丈夫だな」
イアンを追った先には大きな魔力車があり、そこにイアンも含めて自分達も乗り込むのだった。
「イアンさん! お疲れ様です!」
「全員収容オッケーですか?」
「あぁ──待たせてすまない! 全員大丈夫だ! リンクスへ向かってくれ!」
「オッケーです! 向かいます!」
魔力車の中ではシャドウ事件の際にでもイアンと共にしていたイアンの部隊メンバーが乗っていた。
そしてイアンの号令と共に魔力車はリンクスに向けて混雑している人混みをかき分けながらも確かに進んでいくのだった。
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